医学界新聞

連載

2014.02.03

在宅医療モノ語り

第46話
語り手:注意深く,大事に持ち帰ります 
医療廃棄物入れさん

鶴岡優子
(つるかめ診療所)


前回からつづく

 在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「医療廃棄物入れ」さん。さあ,何と語っているのだろうか?


往診鞄のこちらが定位置
私のふたが開いてしまう事故は今までありませんが,念のため,こちらのポケットには私だけが入るようにしています。医療機関に帰ってくると,黄色のバイオハザードマークのついた四角い頑丈な容器に中身は移され,専門業者の回収を待ちます。
 私たちの街のゴミの分別は,割と厳しいほうだと思います。生ゴミを含む燃やせるごみ,ビニールと軟質プラスチックはビニ・プラ,不燃ごみ,びん・缶,乾電池,ダンボール,有害ごみ,アスベスト含有物,雑誌・牛乳パック,衣類,小枝などに分別するのです。慣れるまでは大変ですが,これも環境のためと思えば,なんのその。住民たちは市が発行する行政カレンダーを見て,間違えないようにゴミ捨て場まで持っていきます。

 私は,在宅医療で出て

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