こんなことが起こっています(井部俊子)
連載
2013.11.18
| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
| |
井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
こんなことが起こっていると,やって来た人が語る。
Aは,あるところで講義をした。受講生である看護師たちは,最近,患者が死ななくなったと話す。何かと倫理的問題の多い胃ろうをやめて,中心静脈栄養に切り替えるという方針の医師が増えたからだという。すると,患者がラインを自己抜去しないようにするため医師の指示で手を抑制する。トイレ介助を少なくするため尿道カテーテルを留置する。こう語る看護師たちはケアの質の低下を自覚している。
Bは,ワーク・ライフ・バランスをテーマに講演した。聴いていた当該病院の理事長は,「ウチは看護師のために何でもやっている。スタッフの不満はない」と高らかに話すが,現場ではワークとライフのアンバランスのために,看護師の退職率が増加しつつあるのを彼は知らないだけだった。
Cは,がん検診で受診した専門病院での診断について,セカンドオピニオンを求めようと,組織標本と検査結果の提供を,担当した外来医師に請求した。後日,電話口でその医師は,「あれだけ説明したのに,あなたは何が不満なのですか」と大変なけんまくであったという。
Dは,こう言う。「患者の転倒転落件数を増やさないようにするための対策として,患者をベッドから下ろさないようにしているのです。そうすると必然的に,ベッド柵を上げる,体幹抑制をするということが行われます。データ主義の負の側面でしょうか」。
Eは,自分の恩師が入院したのでお見舞いに行った。敬愛する恩師を病棟の看護師たちは次々と「おじいちゃん」と呼んだ。それを聞いて「私はとてもみじめな思いをしました」と告げる。
Fは,高圧的でチームで協同できない病棟医師に困って,院長に相談した。すると院長は,左手を広げ,右手のこぶしで円を描いた。つまり,「おまえの手の掌で転がせ」ということだった。私は思わずFに,「...
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看護のアジェンダ
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