看護と哲学のコラボ(井部俊子)
連載
2013.10.21
| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
| |
井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
今回の週刊医学界新聞(2013年10月21日発行3048号)では,村上靖彦氏との対談記事が巻頭で掲載されている。「看護のアジェンダ」を読んでくださっているあなたは,すでにこの対談を読了されているかもしれないし,していないかもしれないと思いつつ,今月の原稿のテーマをやはりこれに決めた。
看護師の語りはおもしろい
これまで看護師の語りをこのように賛美してくれた文章を私はみたことがない(以下,『摘便とお花見』より引用)。
「看護師さんの語りはおもしろい。看護師は,私が身につけることのできない技能を持ち,私が決してすることのないであろう経験を重ねている。しかもこのような技能と経験は,同じ人間として地続きのものでもある。それゆえ看護師の語りを聴くとき,私は自分の経験が拡張されるように感じる。しかもそのような語りを文字に起こしてから分析すると,表面のストーリーの背後に,さらに複雑で多様な事象が隠れている」と。そしてこう続ける。
「看護師は患者と医師のあいだに立つ。つまり病や障害を生きる患者と,科学と技術を代表する医師とのあいだに立つ。複雑な人間関係や医療制度の板挟みになりながら,生と死が露出する場面に,立ち会い続ける。緊迫した職場であり,人間の可能性の限界を指し示している。それゆえ人間の行為とはいかなるものかを考えるために,重要な示唆を与えてくれるのだ」という。
看護師という人生に少し疲れてきているあなたが,少し元気になれる本が『摘便とお花見』である。もっともこのタイトルはスパイの暗号のようにみえる。そもそも看護師以外の人には「てきべん」という言葉は外国語のように感じるらしい。
深い地層のなかに看護の意味と価値の鉱脈を探る
現...
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