経過記録と問題リストの活用(佐藤健太)
連載
2012.12.03
「型」が身につくカルテの書き方
【第6講】病棟編(2) 経過記録と問題リストの活用
佐藤 健太(北海道勤医協札幌病院内科)
(3001号よりつづく)
「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by立川談志)。
本連載では,カルテ記載の「基本の型」と,シチュエーション別の「応用の型」を解説します。
カルテ記載例問題リスト 〈12月14日 経過記録〉 |
(1)プロブレム名更新時には,更新した日付と変化の分類を[ ]内に記載する。
分類:深化・診断,統合・移行,訂正・取り消し,治癒・終了など
(2)統合(他のプロブレムへの吸収)や治癒(治療による疾患の治癒),終了(その他何らかの原因で問題が消失)した場合は日付とともに分類を記載すること。このいずれかが記載されていないプロブレムはまだ活動性で,解決しない限り退院できない。この問題リストでは#4,#6だけが現在アクティブだとすぐわかり,急性期病棟から回復期リハビリ病棟への転科タイミングと判断できる。
(3)前日までに統合・治癒・終了しているプロブレムは,その後の経過記録では触れる必要はない。
(4)冗長になるため,プロブレム名は最新のものだけでよい。番号だけだと問題リストを確認しながらでないと読みにくいので不便と個人的には感じる。
(5)簡潔さが大事なので,患者の解釈や感情を把握する必要がない医学的な問題の記述では医学用語に置き換えたり箇条書きでよい。
(6)温度板や他職種記録に書いている内容は重複して書かなくてもよい。
(7)治癒などプロブレム名変更の理由はAに根拠とともに記載する。
(8)プロブレム名=病状の把握内容が変化すれば必ず方針も変化するため,その都度記載する。
(9)まだ決定していない退院日の前後で行う予定の保留プラン。ここに書いておくだけだと退院間際に忘れるので,この時点で指示を出してしまうか,退院時要約に転記しておき退院直前に見つけられるようにしておくとなおよい。
前回は病棟診療を立ち上げるために重要な「入院時記録」の書き方を解説しました。今回は入院後に毎日記載して,情報を整理し,評価・...
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