医学界新聞

連載

2012.10.22

なかなか教えてもらえない
看護研究発表の「キホン」と「コツ」!

【第1回】
少しの工夫であなたの研究は見違える!
研究結果を十分に伝えられていますか?

新美 三由紀(佐久総合病院看護部)


 ナースのみなさん,学会や研究会で研究発表をした経験はありますか?研究結果は,十分に参加者(聴衆)に伝えられましたか?そもそも研究計画書を倫理審査委員会に提出するところで苦労していませんか?

 この連載では,みなさんが少しでも「研究してみたいな」とか「もっと発表してもいいかな」と思ってもらえるよう,研究発表のキホンとコツをギュッと凝縮してすぐに使えるノウハウを解説します。


研究発表には「お作法」がある

 看護研究の一般的な方法は教わっても,研究発表の仕方や研究計画書の書き方を系統的(ここがポイント!)に教わる看護学校や大学は少ないのではないかと思います。私も,看護学生時代や臨床看護師として働いていたとき,研究計画書の書き方はもちろんのこと,研究発表の仕方について教わったことはありませんでした。その後,医学部の生物統計学教室に所属し,そこで臨床研究・臨床試験の専門的教育を受けて初めて,研究発表や抄録・論文作成には「お作法」があるということを教わりました。

 今でも決してうまくはないものの,「キホン」と「コツ」を教わることで「上手なプレゼンテーション(以下,プレゼン)」より「伝わるプレゼン」を意識するように変わりました。当時は,医学・看護学系の研究発表方法を解説した本は日本にはほとんどなかったので,国際的に活躍している生物統計家や医師の諸先輩方からの指導やアドバイスがとても役立ちました。

 看護師は,普段から申し送りなどで人前で話すことに慣れているためか,他の医療職に比べ「話すこと」は上手な人が多いと思います。ですが,研究発表となると,着眼点や結果は興味深いのに研究としての表現方法が十分でなく,「もったいないなあ~」「表現がよければもっと研究の面白さが伝わるのに……」と思われる"惜しい"研究発表をよくみかけるのです。

 臨床で将来役に立つであろう新しい情報や理論を伝えることができる,"面白い"研究だからこそ,なおさら惜しいのです。

学会で出合った「惜しい!」研究発表

 私が最近の学会で実際に見た研究発表のなかで,惜しいと思った具体例を挙げてみます。

1)発表はとても上手で,新しい知見が報告された意味ある研究だったが,ガラガラの会場。「抄録」が興味をひくものだったら,もっとたくさんの人が聞きに来たかも……。
2)発表スライドの背景がピンクでフォントもポップ体。かわいい挿絵を加えても,内容は変わらないんだけど……。なんだか小学校の学習発表会みたいに見えるのは気のせい?
3)スライドも研究内容も素晴らしい。しかし,猛スピードの発表で何を言っているか聞き取りづらく,レーザーポインタもグルグル回すから,思わず目で追ってしまった。聞

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