医学界新聞

2010.10.18

第9回新潮ドキュメント賞贈呈式開催


受賞の言葉を述べる熊谷晋一郎氏
 『リハビリの夜』(医学書院)が第9回新潮ドキュメント賞を受賞し,贈呈式が10月1日,ホテルオークラ(東京都港区)にて開催された。

 同書は,《シリーズ ケアをひらく》の一冊であり,脳性まひ当事者で,小児科医でもある熊谷晋一郎氏が自らのリハビリ体験を振り返って著したもの。壇上で熊谷氏は「身体とは,生き方とはこうあるべきだというイメージに翻弄されつつ,それをかいくぐって生きてきたこれまでのことを書いた」と述べ,「イメージと身体との循環運動を突き動かしてきたのは,“信頼”の気持ち。揺らぐことなく見守り続けてきてくれた両親に,この場を借りて感謝したい」と喜びを語った。

 選考委員の一人である文芸評論家の福田和也氏は,「ことばが平易かつ説得力を持っている。障害を持たない者にとっても,身体は他者であることが非常によく伝わり,その意味で画期的な認識を与えてくれた。こうした著作が成立することに,日本の社会と文化の質の高さを感じる」と賞賛。「選考を通じてこの本を読む機会を与えられたことに感謝している」と結んだ。

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