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[第1回]ストーマの種類を見分けよう
写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編
連載 間宮直子
2026.02.04
WOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
一緒に学習する臨床3年目看護師のさくらです。私が所属する病院にはWOCNはおらず,学生時代に学んだ方法や,代々引き継がれてきた病院独自の方法で皮膚・排泄ケアを行っています。患者さんのことを想うと,本当にこの方法で正しいのか自信がありません……。
最近,ストーマ装具をお腹につけて入院する人をたびたび見かけます。もしその方が一人暮らしで,加えて認知機能の低下があれば,いつ,どこで,なぜ,どのようなストーマが造設されたのかなど,正しい情報が得られない場合もあります。そうした状況下でのストーマケアには,迷う点も多くあります。ストーマのトラブル予防や適切な対処をするには,正しい知識をつけなければいけないですよね。
そうですね,例えば「赤い」「丸い」「高さがある」だけでは,ストーマの正しい情報とは言えません。「どこから」「何が」「どんな状態」で排泄されているのかを知らなければ,ストーマ装具の漏れや周囲皮膚の発赤などのトラブルに,即時に対処できません。オストメイト(ストーマ保有者)が入院生活を少しでも穏やかに送れるよう,基本的な知識から学んでいきましょう。
問題 イレオストミー(回腸ストーマ)はどれ?
回腸に作ったストーマは「イレオストミー」とも呼ばれます。ストーマの排泄物の特徴から,イレオストミーの事例を探してみましょう。
① 形のある便が出るストーマ
② ほぼ水様の便が多く出るストーマ
③ 尿が出るストーマ
④ 細い管が入っている,尿が出るストーマ
解説
ストーマ(stoma)は,ギリシャ語で「口」という意味です。ここで取り上げるストーマは,病気や手術で便や尿の通り道をお腹の外に出した「排泄の出口」のことです。
大腸に造る結腸ストーマはコロストミー(colostomy),小腸に造る回腸ストーマはイレオストミー(ileostomy),尿が出る尿路ストーマはウロストミー(urostomy)といいます。

「丸くて小さな赤いもの」というイメージがストーマにはあるかもしれません。赤いのは腸管の一部を使っているからです。回腸や結腸を腹壁に出して造られているのはイレオストミー,コロストミー,回腸導管というウロストミーです。尿管皮膚瘻というウロストミーは尿管を直接皮膚に出すため,腸は一切使いません。その代わり,尿の流れを保つために細い管(ステント)を入れていることがあります。
つながっている臓器によって,出るもの(便か尿)や皮膚トラブルの起こりやすさが違います。ストーマケアの基本の一つは「どこにつながっていて,何が出ているか」を正しく理解することです。ここでは排泄物からストーマを分類することを学びましょう。
① 形のある便が出るストーマ
☞ ×
コロストミーです
大腸(結腸)を腹壁に出して,泥状~固形の便を排出するのが「コロストミー」です。回腸ストーマに比べ消化液が少なく排便のリズムがある程度保たれているため,自己管理がしやすいストーマともいえます。
腹部の位置は,大腸(結腸)のどこを用いるかで決まります。上行結腸であれば右腹部,横行結腸であれば上腹部,下行結腸であれば左腹部,S状結腸であれば左下腹部であることが多くなります。
大腸は肛門側に進むほど水分を吸収するので,右側のコロストミーはまだ水分が多く,左側は水分が吸収された固形便に近い状態であることが多くなります。
② ほぼ水様の便が多く出るストーマ
☞ 〇
イレオストミー(回腸ストーマ)です
小腸(回腸)を腹壁に出して,水様~泥状の便を排出するのが回腸ストーマである「イレオストミー」です。排出量が多く,消化酵素を豊富に含むため皮膚に対する刺激が強くなります。そのため装具からの漏れは皮膚炎を引き起こしやすく,持続的に排出されやすいことから排便のコントロールが難しい場合もあります。装具による密閉や頻回の排液(便破棄)が必要で,体液の喪失量が多いため,脱水や電解質異常を起こすことがあるのも特徴の一つです。臭いはほとんどありません。
③ 尿が出るストーマ
☞ ×
回腸導管と呼ばれるウロストミーです
膀胱摘出後などに回腸の一部を尿の通り道として利用し,そこから尿を排出するのが回腸導管と呼ばれる「ウロストミー」です。袋の中には常に尿がたまり,便はもちろん出ません。尿は弱酸性で消化液ほどの刺激はありませんが,持続的に尿が流出するため,ストーマ袋を貼るタイミングのコツを習得する必要があります。周囲皮膚の浸軟や尿中成分の結晶付着などが起こることもあります。尿路感染予防と装具の密着性のケアが必要となります。
④ 細い管が入っている,尿が出るストーマ
☞ ×
ステントが入っている尿管皮膚瘻(ウロストミー)です
左右の尿管を直接皮膚に開口させた尿路変更術をしているのが,尿管皮膚瘻と呼ばれる「ウロストミー」です。腸管は使用していません。この事例は左右の尿管を一か所で開口している「一側合流尿管皮膚瘻」で,尿管を確保するため2本のステント(細い管)がストーマから出ています。尿管をそれぞれ左右の腹壁に開口しているのは「両側尿管皮膚瘻」と言います。ステントが入らず尿管の断端が腹部に見えている人も多くいます。
答え: ②ほぼ水様の便が多く出るストーマ
お腹にある同じような“口”でも,便が出るのか尿が出るのかでストーマの種類が違い,ケアの方法も変わってくるのですね。
尿や便,ガスを自分の意思で止められる状態を「禁制」と言いますが,今回提示したのは自分でコントロールできない「非禁制」のストーマです。そのためストーマ袋(装具)を使って排出物を受け止め,漏れを防ぐことで,快適な生活を送ることができます。どこにつながっていて,何が出ているかをきちんと理解することは基本中の基本ということです(表)。
ストーマの定義は,「消化管や尿路を人為的に体外に誘導して造設した開放口」とされています1)。本来の排泄経路が病気などで使えなくなったときに,命を守り,日常生活をできる限り今まで通りに続けていくために造られる“代わりの出口”です。
ですからストーマは「傷」ではなく,生きるための新しい排泄の通り道であると言えます。私たち医療者がその意味を正しく理解していることが,オストメイトの安心と尊厳を守ることにつながります。だからこそ,ここで一緒にしっかり学んでいきましょう。
今回のポイント
✓ ストーマは「どこにつながっているか」で種類が決まる
✓ まず「便か尿か」を見るのが最も大事
✓ 見た目が似ていてもケアの方法は違うことがある
✓ ストーマの種類を正しく見分けることが,トラブルを防ぐ第一歩
参考文献
1)日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会編.ストーマ・排泄リハビリテーション学用語集,照林社,2025.
間宮 直子(まみや・なおこ)氏
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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間宮 直子(まみや・なおこ)氏 済生会吹田病院副看護部長/皮膚・排泄ケア認定看護師
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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