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クリニカルナースリーダーの実践に学ぶ
「課題解決のプロフェッショナルを目指す――クリニカルナースリーダー(CNL)の実践に学ぶ」の話題より
取材記事
2026.05.21
2026年3月7〜8日,医学書院(東京都文京区)にて,「課題解決のプロフェッショナルを目指す――クリニカルナースリーダー(CNL)の実践に学ぶ」と題したセミナー(共催:東京総合診療推進プロジェクト)が開催された。本記事では,初日に行われた講演の模様から,CNLの実践的なアプローチをお届けする。
「改善」の国で,なぜ真の問題は解決しないのか
「日本は『改善(KAIZEN)』の国でしょう? なぜそんなに困っているのですか」――。米国で任和子氏(京都大学)が投げかけられたこの問いは,日本の医療現場が抱えるジレンマを鋭く突いていた。
「日本の現場は同じところをぐるぐる回るばかりで,真の問題解決に至っていない」と指摘した任氏は,「問題とは,現在の状況と目指すべきゴールとの間にあるギャップであり,表面的な困りごとではなく真の原因を見極めることが重要だ」と参加者らに訴える。
この問題を解決する鍵として提示されたのが,本セミナーのメインテーマであるCNLの存在だ。特定の疾患のエキスパートである専門看護師(CNS)とは異なり,CNLは修士レベルの教育を受けたジェネラリストである。現場の「システム」や「プロセス」の課題を分析し,改善へと導く現場のエキスパートとしての機能がCNLには求められている。
疾患ではなく「システム」を診る――5P分析の活用
米・聖アンソニー看護大学でCNL教育に携わる角田みなみ氏は,CNLの具体的な役割について解説した。予算や人事といったマクロな業務に対応する管理者に対し,コストの直接的な管理は担わず,日々のケアの質の向上や働きやすいシステム作りの役割をCNLは担う。
システム改善のための介入ツールとして,角田氏が推奨したのが「5P分析」である。いきなり「問題」に焦点を当てると視野が狭まってしまうため,まずは現場を次の5つの視点から俯瞰し,深く理解することが真の問題発見につながるという。
Purpose:部署の存在意義
Patient:利用される患者さんやご家族のこと,年齢・性別・人種・診断名トップ10,どこから来たのか,普段はどこでケアを受けているのか,患者さんの特性(大事と感じていること)
Professionals:直接的・非直接的に現場で患者さんにかかわる全ての方の情報,職種・認定などの資格,経験年数,離職率,教育歴,他職種の役割
Process:現場で行われているケアのプロセス,24時間のタイムスケジュール,何を・どこに・いつ記録しているか,患者さんが部署に来る前後のプロセス,ガイドラインとの齟齬はないか
Pattern:その現場の特色はなにか,アウトカムの指標,どんなテクノロジーを使っているか,どこで器具を管理しているか,ミーティングをいつ開催しているのか,チームの状況はどうか
ケアの水平的統合と医療の質の担保
現場のエキスパートたるCNLに求められるもう一つの重要機能が,ケアの水平的統合だ。これは,多職種間にとどまらず,組織や地域を越えてバラバラになったケアをつなぎ合わせることを意味する。特に病棟移動や退院,地域へといった「移行」の場面ではケアが分断されやすいため,全体像をマネジメントできるCNLの存在意義は極めて大きいとされる。また,2026年度の診療報酬改定における急性期一般入院基本料の見直しや看護・多職種協働加算の新設など,ケアの移行や多職種協働を高く評価する動きに任氏は言及。「現場の思い込みを排除し,分断されたケアをつなぎ直すCNLの存在は,次世代の医療の質を担保する上で不可欠になる」と力説し,「現場を一番よく知っているのは看護職。だからこそ現場を変える力も看護職にある」と締めくくった。
*
本セミナーでは上記のほかにも,5P分析を用いて自院の課題を洗い出す実践的なグループワークや,竹熊カツマタ麻子氏(静岡県立大学)による「多職種連携医療における看護師のリーダーシップの意義」に関する講義,伊波早苗氏(淡海医療センター)からの「入退院支援に関する実践報告」など,充実したプログラムが展開された。
なお,本セミナーの模様は,看護管理者のための生涯学習プラットフォーム「看護管理まなびラボ(かんラボ)」にて配信される予定である。
第2弾「課題解決のプロフェッショナルを目指す――クリニカルナースリーダー(CNL)の実践に学ぶ」セミナー開催のお知らせ
質改善に関心のある看護師,看護管理者の皆さまを対象に,質改善を専門とする米国の高度実践看護師「クリニカルナースリーダー(CNL)」の実践に学ぶセミナーを開催します。特に,看護師長,副看護師長・主任,専門看護師,認定看護師の皆さまのご参加をお待ちしております。
【セミナー概要】
DAY1 2026年7月4日(土)10:00~17:00
DAY2 2026年7月5日(日)10:00~16:00
*2日間受講された方には修了証を発行します
主催 医学書院
共催 地方独立行政法人 東京都立病院機構
講師
任 和子氏(京都大学医学研究科 人間健康科学系専攻先端中核看護科学講座 教授)
竹熊カツマタ麻子氏(静岡県立大学看護学研究科 国際看護学・看護管理学 教授)
角田みなみ氏(米国・聖アンソニー看護大学,クリニカルナースリーダー[CNL])
*現場の看護管理者から事例提供をいただく予定です
対象 質改善に関心のある看護師,看護管理者(主に,看護師長,副看護師長・主任,専門看護師,認定看護師)
会場 株式会社医学書院会議室(東京都文京区本郷1-28-23)
定員 40名
受講料 20,000円(T-GAP優待受講料)/ 35,000円(一般受講料)
*「東京総合診療プロジェクト(T-GAP)」アライアンス施設にご勤務の方,先着20名に限り優待受講料の適用となります
*受講料には消費税および2日間の資料代および昼食代を含みます
*1日目の夜に懇親会を行います(参加希望者のみ,申込後に別途ご案内いたします)
タイムテーブルなどの詳細はこちらよりご覧ください。
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