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『医師による医師のためのChatGPT入門2——臨床現場ががらりと変わる生成AI実践術』より

連載 大塚篤司

2024.12.04

好評を博した『医師による医師のためのChatGPT入門——臨床がはかどる魔法のプロンプト』に続く,待望の第2弾が登場! 
前作以降の生成AIの加速度的な進歩を踏まえたうえで,今作『医師による医師のためのChatGPT入門 2——臨床現場ががらりと変わる生成AI実践術』ではChatGPTはもとより,Gemini,Claudeを中心に日常業務での最新の活用方法を解説します。PoeやNoLangなどの次世代AIの数々も紹介しており,生成AIの現在をやさしく楽しく理解できます。

「医学界新聞プラス」では本書のうち,「画像で読み取った表をエクセルで作り直す」,「NotebookLMを使って専門医試験対策を行う」,「ChatGPT, Gemini, Claudeなどすべての生成AIの回答を比べる(Poeの使いかた)」,「NoLangを使って医学教育用のショート動画を作成する」の内容を,全4回でご紹介します​​​​​​。

NotebookLMを使って専門医試験対策を行う

さて,ここからはGeminiを無料で使い倒す方法を教えましょう Example Image
Example Imageやった!
Geminiは無料で使えるものが本当に多いと思う.そのひとつに,NotebookLM(ノートブック エルエム)がある Example Image
Example Imageなんですか? 初めて聞きました
Geminiに聞いてみよう Example Image
Example Image プロンプト
NotebookLMとはなんですか?
Example Image Gemini
  NotebookLMは,Googleが開発したAI搭載ノートブックサービスです.ユーザーがアップロードしたPDF,DOCSなどのドキュメントを読み込み,その内容に基づいて質問への回答や概要の作成を行います.また,ユーザーと共同作業を行いながら,アイデアの創出や整理をサポートします.ただし,回答の正確性は保証されていないため,自己責任で事実確認を行う必要があります.NotebookLMは,ウェブサイトやGoogleドライブのファイルにも対応しており,日本語でも利用可能です.  
Example Imageふむふむ.こちらが準備した資料を読み込ませて,そこから回答を引き出すわけですね
そのとおりです.以下のQRコードから登録してみて Example Image
QR
Example Image先生はどういう使いかたをしているんですか?
ぼくは,皮膚科診療ガイドラインを読み込ませて,診察で困ったら使うようにしているよ Example Image
p82_図.PNG
「新しいノートブック」の+ボタンを押して,必要な資料をすべてアップロードすれば使えるようになる.ぼくが使っている皮膚科診療ガイドラインだとこんな感じです Example Image
Example Image プロンプト
アトピー性皮膚炎の治療アルゴリズムを教えてください.
NotebookLM
アトピー性皮膚炎の治療アルゴリズム

ソースによると,アトピー性皮膚炎の治療アルゴリズムは,患者の年齢や症状,生活背景などを考慮し,個別に対応する必要があります.① ② ③

治療の目標
・最終目標は,日常生活に支障がなく,薬物療法をあまり必要としない状態を維持することです.④
・完治させる治療法はないため,対症療法が基本となります.④

治療方法
・薬物療法
・外用療法・スキンケア
・悪化因子の検索と対策の3つを,患者ごとに適切に組み合わせていきます.④

薬物療法
・症状に応じて,抗ヒスタミン薬,ステロイド外用薬,タクロリムス軟膏などを段階的に使用します.
③ ⑤ ⑥
・重症例では,シクロスポリンなどの免疫抑制剤や,生物学的製剤の使用も考慮されます.⑥ ⑦
・アレルギー性疾患を合併している場合は,その治療も行います.②

外用療法・スキンケア
・皮膚の炎症を抑え,皮膚バリア機能を改善するために,保湿剤やステロイド外用薬などを適切に使用します.
④ ⑤
・皮膚の状態に合わせて,適切なスキンケア指導を行います.

悪化因子の検索と対策
・悪化因子となる刺激(例:唾液,汗,摩擦,衣類,金属,香料,ダニ,食物など)を特定し,それらを避けるようにします.
① ⑧
・アレルギー検査などを行い,原因となるアレルゲンを特定することもあります.⑧
回答部分の数字をクリックすれば,もとの資料を確認することもできる Example Image
Example ImageNotebookLMで他にできることってありますか?
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右下のノートブックガイドというボタンを押すと,以下のような画面が出てくる Example Image
p84_図.PNG
この中の「学習ガイド」というボタンをクリックすると,クイズを出してくれるんだ Example Image
Example Imageすごい!

NotebookLM
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021レビュー

クイズ
質問1: ホスホジエステラーゼ5阻害薬は,血管病変に有用である可能性がありますが,日本で使用する場合,どのような注意点がありますか?
質問2:アトピー性皮膚炎の診断において,除外すべき疾患を5つ挙げてください.
質問3:アトピー性皮膚炎の臨床型を5つ挙げてください.
質問4: ステロイド外用薬の長期間使用における注意点とその理由を説明してください.
質問5: ステロイド外用薬による色素沈着は,どのようなメカニズムで生じるのでしょうか?
質問6:タクロリムス軟膏は,どのような場合に有効な治療法となりえますか?
質問7: 第二世代抗ヒスタミン薬の特徴と,第一世代抗ヒスタミン薬と比較した利点を説明してください.
質問8: アトピー性皮膚炎に対するステロイド内服薬の投与について,注意点を含めて説明してください.
質問9: アトピー性皮膚炎の治療におけるブリーチバス療法の現状について説明してください.
質問10: アトピー性皮膚炎における入院治療の意義について,具体的に説明してください.
 
クイズ解答
解答1: ホスホジエステラーゼ5阻害薬は,レイノー現象の緩和などに有用と考えられますが,日本では報告例が少なく,薬価が高価で保険適用がないため,適応を慎重に考慮する必要があります.
 

波線.PNG

この機能は専門医試験対策に使えると思っていて,自分が勉強した内容をどんどんNotebookLMにアップロードしていけば,確認テストを自動作成してくれて便利だよ Example Image
Example Image全部無料で使えるなんてすごいですね.どれくらいの情報量をアップロードできるんですか?
いまのところ1つのファイルにつき最大50万字.90ファイルまでアップロードが可能なんだ.文庫本でいうと,500冊くらい読み取らせることができる Example Image
Example Imageすごすぎます!
でもNotebookLMはまだ実験段階のようだから,今後どうなるか推移を見ていく必要があるね Example Image
ここがポイント!
NotebookLMに専門分野の資料をアップロードしておけば,あなた専用の生成AIが作成可能になる.


 

Example Imageおーつか先生のプロンプト

アトピー性皮膚炎の治療アルゴリズムを教えてください.

 

 

 

 

最新・最良の生成AIをフル活用して、日常臨床の質を向上させよう

<内容紹介>好評を博した『医師による医師のためのChatGPT入門——臨床がはかどる魔法のプロンプト』の第2弾。前作以降の生成AIの加速度的な進歩を踏まえたうえで、今作ではChatGPTはもとより、Gemini、Claudeを中心に日常業務での最新の活用方法を解説する。また、PoeやNoLangなどの次世代AIの数々も紹介。前作同様、おーつか先生から大学院生・花咲アイさんへのレクチャー形式で展開。生成AIの現在をやさしく楽しく理解できる。

目次はこちらから

 

 

< 前作はこちら! >​​

 

ChatGPTを使いこなせば、あなたの臨床がもっと楽に。もっと効率よく。

<内容紹介>ChatGPTの登場後、難しそうと敬遠する医師がいる一方、日常業務を効率化し生産性を上げている医師もいる。本書は、ChatGPTに苦手意識のある医師や研修医に向けて、ChatGPTを中心とした生成AIの基本的な使い方から日常業務での活用法に至るまで具体例とともに解説する。おーつか先生から研修医・花咲アイさんへのレクチャー形式で展開。コピペでそのまま使える、著者秘伝のプロンプトを集めたWeb付録付。

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