医学界新聞

2020.02.24



第23回日本病態栄養学会開催


 第23回日本病態栄養学会年次学術集会(会長=茨城キリスト教大・石川祐一氏)が1月24~26日,「栄養をつなぐ」をテーマに国立京都国際会館(京都市)にて開催された。本紙では,看護師セッション「専門病態栄養看護師の認定開始に向けて」(座長=徳島大大学院・濵田康弘氏,明和病院・矢吹浩子氏)の模様を報告する。

日本で唯一の,看護独自の栄養管理認定資格を創設

 日本病態栄養学会は新たな学会認定制度として,「専門病態栄養看護師」の認定を開始することになった。最初に登壇した医師の村上啓雄氏(岐阜大病院)は,認定委員長として制度の概要を説明したほか,NST(栄養サポートチーム)の歴史的背景や多職種連携の在るべき姿について考察。「看護師は患者に最も寄り添う職種。計画された栄養管理の評価を現場で行い,多職種に発信する立場にある」と述べ,現場の看護師とNSTメンバーの橋渡し役を担う専門病態栄養看護師にエールを送った。

 専門病態栄養看護師は,「栄養管理の基本を習得し,栄養管理の的確な実践と栄養看護を提供できる者」と定義される。看護師の矢吹氏は,“栄養看護”の意味について見解を述べた。看護理論家のV・ヘンダーソンは基本的看護の14の構成要素のうちの1つとして「患者の飲食を助ける」を挙げており,「基本的欲求の充足した状態」を①必要な栄養を摂れている,②楽しく食べられ満足感がある,と定めていることをひもといた(『看護の基本となるもの』日本看護協会出版会)。このように看護と栄養は不可分であり,cureだけではなくcareの視点が栄養看護には重要であると語った。

 続けて,管理栄養士の立場から真壁昇氏(関西電力病院),看護管理者の立場から井樋涼子氏(公立八女総合病院),退院支援看護師の立場から山田圭子氏(康生会武田病院)が,それぞれ自施設でのNST活動の実践および専門病態栄養看護師に期待する役割を述べた。討論の最後には座長の矢吹氏が「日本で唯一の,看護独自の栄養管理認定資格が創設されたことになる」と新たな認定制度の意義を強調。濵田氏は,NSTに携わる看護師のさらなるレベルアップの機会としての普及に,期待の意を示した。

 認定試験は年1回行われ,第1回は2020年11月に実施される予定。受験資格などの詳細は病態栄養学会のウェブサイトを確認されたい。

座長の濵田氏(左)と矢吹氏

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