生涯学習と連携に役立つ退院時要約(佐藤健太)
連載
2013.01.14
「型」が身につくカルテの書き方
【第7講】病棟編(3) 生涯学習と連携に役立つ退院時要約
佐藤 健太(北海道勤医協札幌病院内科)
(3005号よりつづく)
「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by立川談志)。
本連載では,カルテ記載の「基本の型」と,シチュエーション別の「応用の型」を解説します。
カルテ記載例【現病歴】78歳男性。1か月前から食思不振と体重減少,1週間前から黒色便を認め,内視鏡検査にて胃潰瘍と診断され入院となった。
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(1)第5講参照。未聴取だった既往歴などを入院後に追加聴取した場合,入院後経過内でなくここに追記しておいたほうが情報を探しやすい。
(2)第6講参照。日付を付けてプロブレム名の経過をまとめておくと,入院の全体像を簡単に把握しやすい。
(3)最初に入院時記録の「初期評価と計画」を記載する。
(4)予定している「計画:P」と「実際の経過:D」は別モノなので分けて記載する。
(5)症状変化や追加検査結果(S)は,医師の判断や行動に影響を与えるものに絞り記載する。
(6)Sを根拠にプロブレム名を更新する。
(7)新しいプロブレム名に合わせて修正された計画を記載する。
(8)まとまった量の検査結果は入院後経過の文中には書かず,後にまとめて記載したほうが読みやすい(今回は紙面の都合で省略)。
(9)「起」:症例の特徴を簡潔にまとめ,いちばんの問題点,考察すべきポイントを明示する。
(10)「承」:問題設定を受け,関連する文献をひとつ選び,その内容から症例に関係する部分だけ簡潔に引用する。
(11)「転」:文献情報を「この事例に当てはめる」と何が言えるのか。最も重要。
(12)「結」:ここまでを踏まえて,この患...
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