「腹痛で目が覚めました……」(前野哲博,中澤一弘)
連載
2013.01.14
外来診療
次の一手
【第10回】「腹痛で目が覚めました……」
前野哲博(筑波大学附属病院 総合診療科教授)=監修
中澤一弘(筑波大学附属病院 総合診療科)=執筆
(3005号よりつづく)
本連載では,「情報を集めながら考える」外来特有の思考ロジックを体験してもらうため,病歴のオープニングに当たる短い情報のみを提示します。限られた情報からどこまで診断に迫れるか,そして最も効率的な「次の一手」は何か,ぜひ皆さんも考えてみてください。
【症例】Oさん 38歳男性中肉中背。既往歴,飲酒,喫煙なし。腹痛を主訴に来院した。Oさん 「今朝早くにいきなり腹痛で目が覚めました。吐き気もあります。食事もとれないほどです。便は普段通りで下痢はしていないのですが……」
バイタルサイン:体温36.9℃,血圧128/75 mmHg,脈拍89回/分(整)。 ⇒次の一手は? |
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この病歴から言えることは?
比較的若年の男性で,突発性の腹痛の症例である。この症例で注目すべき病歴は,腹痛が目を覚まさせるほど強いことと,通常の感染性胃腸炎でよくみられる下痢や発熱,感冒症状がないことである。既往や喫煙歴,NSAIDsの内服もなく,便性状も正常のため,胃十二指腸潰瘍を積極的に考える所見は乏しい。また,コレステロール胆石この記事はログインすると全文を読むことができます。
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