総合内科の面白さ(石山貴章)
連載
2012.01.09
その役割や実際の業務を紹介します。
REAL HOSPITALIST
[Vol.13] 総合内科の面白さ
石山貴章
(St. Mary's Health Center, Hospital Medicine Department/ホスピタリスト)
(前回よりつづく)
そろそろ終盤に近づきつつある本連載。今回は少し脇道にそれ,私自身がどのようにこの仕事を楽しんでいるのか,あるいは何に満足感を得ているのかを紹介したいと思う。これらは,特にホスピタリストや米国臨床に限ったことではないかもしれない。ただ,今の私が何にこだわっているのかを書いてみることで,少しは日本の研修医の人たちの参考になるのではないかと,まあ,そういうことだ。また,本文中でも述べるが,いかにこの仕事が楽しいかを表現できたらと,そう思っている。
*
私自身は何よりまず,毎日の患者の診断および病棟管理の仕事と,自分自身の研鑽とを楽しんでいる。日々自分の中で,いいイメージを作ってこれらに向かうことは,私にとっては非常に大切である。ひとつには,こだわりを持って,いい物を作ろうとする匠の職種,例えば杜氏のイメージだ。あるいは,日々トレーニングを積んで少しずつ強くなっていく,ボクサーのイメージである。漫画『はじめの一歩』(講談社)のドクター版,を想像してもらえればいい(読んだことのない読者の方,すみません。お薦めです。ぜひお読みください)。
早朝,あるいは就寝前の教科書学習,あるいは仕事に向かう途中の車内でのMKSAPオーディオ,さらには,仕事の最中のUpToDate®による知識の確認,そして日々の病棟管理そのもの。こうしたものすべてが,自分を少しずつ成長させるための,糧になっている。それはボクサーに例えれば,毎日の走り込みであり,サンドバッグ打ちであり,そしてスパーリングである。若干ストイックではあるが,自らの成長のためであり,結構楽しめる。
もともと外科医であった私は内科医転向を決めた際,バランスの取れた腕の良い総合内科医になりたかった。その点,すべてをまんべんなく,そしてバランスよく学ばねばならないホスピタリストの仕事は,うってつけのものであった。各科専門医とともに行う病棟患者管理の中で,常にあらゆる分野を,その専門家たちから学ぶことができる。
病歴聴取,身体所見の取り方,幅広い内科知識,そして新しい知識のアップデート。学ぶことは,いまだ山ほどある。どの分野でもそうだろうが,この世界もまた天井知らずであり,優秀な医師は国内外含め山ほどいる。知識としてわかることと,それを実践できること,そしてまた,さらにそれを高いレベルでこなせること,これらそれぞれの段階には,非常に大きな隔たりがある。
ましてレジデント時代に,「皆についていくのがやっと」といった研修生活を送った身としては,「あのころ十分に学ぶことができなかった」という劣等感のようなものがある。...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.03.11
最新の記事
-
対談・座談会 2025.04.08
-
対談・座談会 2025.04.08
-
腹痛診療アップデート
「急性腹症診療ガイドライン2025」をひもとく対談・座談会 2025.04.08
-
野木真将氏に聞く
国際水準の医師育成をめざす認証評価
ACGME-I認証を取得した亀田総合病院の歩みインタビュー 2025.04.08
-
能登半島地震による被災者の口腔への影響と,地域で連携した「食べる」支援の継続
寄稿 2025.04.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。