医学界新聞

連載

2009.09.21

腫瘍外科医・あしの院長の
地域とともに歩む医療

〔 第12回 〕
地域緩和ケア支援ネットワーク(3)
生活支援システム

蘆野吉和(十和田市立中央病院長)

腫瘍外科医として看護・介護と連携しながら20年にわたり在宅ホスピスを手がけてきた異色の病院長が綴る,
「がん医療」「緩和ケア」「医療を軸に地域をつくる試み」


前回よりつづく

 医療支援システムが地域緩和ケア支援ネットワークの“黒子”であれば,“主役”は生活支援システムです。生活支援システムは,患者の介護支援や介護する家族の生活を支える役割を持つもので,ケアマネジャー,ホームヘルパー,介護福祉に携わる行政職員および地域住民がかかわります。そして,この中で最も重要な役割を担っているのがケアマネジャーです。

 通常,ケアマネジャーの役割は,介護保険の申請の代行,患者のADLの状態に即した介護支援の調整(介護計画の作成とサービス事業者の手配および介護サービスの実施状況の評価など)ですが,看取りを念頭においた在宅医療においては,病状悪化時や臨終期の適切な介護体制の構築や生活指導(看取りの指導など)も重要な役割の一つになります。

がん終末期の支援体制には迅速さが求められる

 在宅ホスピスケアにかかわるケアマネジャーやホームヘルパーが直面する問題はたくさんあります。病状の進行に伴ってADLが急速に低下することがあるため迅速な対応が求められること,かかわる期間が短いため介護する患者の家族との信頼関係の確立が難しいこと,医療従事者との連携が一般的には取りにくいことなどです。特に最初に抱える問題は,介護保険の申請時に勃発します。

 介護保険は2000年4月に導入され,2006年4月の改定で40...

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