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  • あせらないためのER呼吸管理トレーニング(1)急変を回避! 心のギアを上げる呼吸のサインを察知せよ(藤澤 美智子)

医学界新聞

あせらないためのER呼吸管理トレーニング

連載 藤澤 美智子

2025.10.14 医学界新聞:第3578号より

・心のギアを上げる呼吸のサイン
・SpO2のピットフォール

 SpO2が保たれていれば「まだ大丈夫」。そう思っていませんか? 頻呼吸の患者を前にしたとき,「やばい」と心のギアは上がりますか? 呼吸には,気道や肺だけでなく全身の異変のサインが現れます。第1回では,危ない呼吸のサインについて学んでいきましょう。

 図1では,急変を回避するために重要な呼吸のサインを取り上げています。低いSpO2,意識障害や循環不全の合併,チアノーゼ,喘鳴などの派手な所見は重篤感もあり察知しやすいでしょう。一方で,呼吸回数,呼吸様式の異常,浅い呼吸や呼吸補助筋を使用した努力呼吸は見逃されていることが多いように思います。特に呼吸回数は初学者であっても評価可能であり,かつ急変を予測するスコアにも含まれる重要なバイタルサインの一つです1)。これらについて一歩踏み込んで解説します。

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図1 心のギアを上げる呼吸のサイン

1)呼吸回数

頻呼吸 呼吸回数の数え方は,15秒間の呼吸回数を数え4倍にする方法が簡便です。一般的に25回/分以上を頻呼吸と定義します(表1)。30回/分以上(2秒に1回の呼吸)では特に緊急性が高いと認識しましょう。心停止の直接原因となる6H5Tを頭に浮かべてください。低酸素,循環血液量減少性ショック,アシドーシス,緊張性気胸,心タンポナーデ,肺血栓塞栓症,心筋梗塞など多くの致死的な病態で頻呼吸が見られます。特に「頻呼吸が代謝性アシドーシスの代償である可能性を想定する」は覚えておいてほしい知見の一つです。重篤な呼吸不全や循環不全はSpO2の低下や血圧低下など目を引く身体所見を伴いますが,代謝性アシドーシスの呼吸性代償は血圧やSpO2が保たれていることも多くギアを上げにくいのです。重篤な代謝性アシドーシスは心停止に直結するため原因が何であれ速やかな対応が求められます。「呼吸性代償でpHはギリギリ何とか保っていたが,病態が進行して頻呼吸が維持できなくなった瞬間に心停止」は想定しておくべきストーリーの一つです。頻呼吸は発熱や不安などとも関連するため経過観察されがちですが,「頻呼吸の背景に危ない病態が隠れていないか」という視点は常に持っていてください。

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表1 呼吸様式の異常

徐呼吸 徐呼吸で怖いのは呼吸中枢である脳幹障害,つまり脳卒中や頭蓋内圧亢進などです。その他,麻薬中毒,低体温などを想定します。頻呼吸だった患者の呼吸回数が徐々に低下してきたら,それは呼吸停止,心停止のサインかもしれません。引き続く蘇生処置を意識した対応を行いましょう。

2)呼吸様式の異常

 代表的な呼吸様式・リズムを表1に示します。チェーンストークス呼吸やクスマウル呼吸は比較的よく観察されます。ビオー呼吸は呼吸中枢障害を示唆する切迫した状態で,チェーンスト...

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横浜市立みなと赤十字病院周術期集中治療部 部長

2001年信州大卒業後,東京医歯大(当時)麻酔・蘇生・ペインクリニック科入局。08年より横浜市立みなと赤十字病院にて集中治療医,呼吸ケアサポートチームメンバーとして活動を開始する。25年より現職。酸素療法や包括的な気管切開ケアに関する教育や執筆,発信を行い,監訳を務めた書籍に『気管切開 包括的ケアマニュアル』(MEDSi)がある。
2025年12月,気管切開ケアの品質改善を目指す団体 “TraCARE” を設立。
X ID:@michifuji54

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