医学界新聞

スライド作成のABC

連載 柿崎真沙子

2024.03.11 週刊医学界新聞(レジデント号):第3557号より

 学会発表には口頭発表とポスター発表があります。口頭発表と同様に,ポスターもパワーポイントなどのスライド作成ソフトを使って作られる方が多いのではないでしょうか。私もポスターの作成にはパワーポイントを使っています。一方で,ポスター発表が口頭発表と異なるのは,スライドを1枚ずつ送りながら話すのではなく,1枚のポスターを前に説明したり質疑に対応したりするという点です。基本的な作り方は共通している部分もありますが,ポスター作りならではの注意点もあります。

 まず大切なことは,掲示可能なポスターの大きさと,タイトルの表示形式を確認することです。同じ学会でも大会長や会場が異なると変更になる場合が多いので,前年度の要領は参考程度にして,必ず参加する大会の要領を確認しましょう。

 特に大会ごとに変わるのがポスター番号とタイトルの表示です。ポスター番号は指定のサイズで事務局が用意するという大会もあれば,ポスター内に含めるよう指示される大会もあります。私が参加する学会で多いのは,ポスター番号の掲示を学会事務局で行うため,その部分を空けておくように,との指定です。また,ポスター番号のサイズと合わせてタイトル部分のサイズが指定される学会もあります。

 私はタイトルだけ別に印刷するのが面倒なので,ポスター番号の掲示部分を空白,またはポスター番号を入れ,タイトルも記載し,掲示の段階でポスター番号の紙を上から重ねて貼り付けます。

 ポスター番号に関する指定がないと思って組織ロゴなどをつけたら実は番号が用意されていて,掲示したら組織ロゴが見えなくなってしまった……,というようなことにならないよう注意してください。ポスターを作る前には必ず形式の確認を忘れずに。

 全体のサイズについてはボードのサイズが示されている場合が多いですが,「A0以下のサイズで」などポスターそのもののサイズを指定される場合もあります。ボードのサイズが指定されている場合,ボードに貼れるだけ貼ってしまうと,ポスターの下部が見にくくなってしまうことも多いので,私は大抵,ボードの横幅に合うように用紙サイズを選択しています。A4やA3の用紙に印刷して1枚1枚掲示される方もいらっしゃるかと思いますが,できれば1枚の大きな用紙に印刷したほうが見栄えは良いです。最近ではお金を出せば現地で印刷して掲示まで請け負ってくれる業者が学会と提携していることもあるので,そちらを利用されても良いかもしれませんし,布タイプの用紙に印刷すると,折りたたんでも折り跡などが気にならない上,コンパクトに持ち運べます。

 ポスターの内容については,連載第2回「スライドの構成の考え方」(本紙第3532号)で記したスライド作成の流れと基本的に同じです。提出したアブストラクトに示した事項を中心に,肉付けしていく形が良いと思います。基本的なスライドの作り方と変わりはありません。

 他方で,見る人が足を止めるか止めないかで見てもらえるかが変わる,という点でポスター発表は口頭発表と異なります。なるべく多くの方に足を止めてもらいたい場合は,みっちり隙間なく書き込むよりも,ぱっと見て内容がわかりやすいよう,遠目に見ても見やすい,余白に余裕を持ったポスターにすることが重要です。また,タイトルと発表者名の直下の目立つところ()に目的・方法・結果・考察の簡単な要約を数行程度で記載すると,その部分を見て興味を持ってくれた方がさらにその下に書かれている詳しい説明を見ることができるのでお勧めです。

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 ポスターのレイアウト
必ず要領を確認の上,見やすさにこだわってレイアウトしましょう。目立つ上部に要約を記し,中央で詳しい説明を行い,下部は見にくいことを想定したレイアウトがお勧めです。

 そして,背景,目的,方法,結果,考察,まとめ,などの各項目がどこに示されているかわかりやすいレイアウトにしましょう。段組については項目ごとに見やすく示されていれば,1段でも2段でも3段でも良いと思います。ただし,あまり下のほうに書かれている項目については見にくくなってしまうので,メインの結果などはなるべく中央にくるようにレイアウトできると良いと思います。

 以前は「ポスターはじっくり見る人も多いのでグラフよりも表を」と言われたこともあったのですが,個人的にはぱっと見て結果がわかりやすいよう,グラフを用いた上で詳細な数値を記載するのが良いかな,と思っています。こうすると,視認性が良いので説明もしやすいですし,じっくり眺めて数値を比較したい人にも対応できます。ポスター発表の多くは,指定時間に自分のポスター前に立ち,数分で質疑応答するという形式です。細かい数値まで説明していると時間が足りなくなってしまうので,グラフで大枠を示したほうが説明しやすいと思います。

 最近は大きな画面に横長のポスターを1枚掲示して発表するeポスターの形式も増えてきました。その場合も作成方法は大きく変わりませんが,画面のサイズが思ったより小さいこともあるので,やはり発表の際の掲示サイズを確認し,1枚にみっちり詰め込まないことがポイントになります。

 ポスター発表は閲覧できる時間は長いものの,発表者がその場にいる時間は相対的に短いものです。一定時間ずっと掲示されているので,見学者が自分の好きな時間に好きなだけ見ることができますが,掲示枚数が多い場合は1枚の閲覧時間も短くなることが多いです。さらに,質疑応答時間に実際の発表者を回ろうとすると,思ったほど時間がありません。A4やA3サイズでポスターを縮小印刷したものや,さらに詳しい説明が掲載されているWebサイトへ誘導するQRコード,発表者の名刺や連絡先,パンフレットや,論文掲載済みであればその論文を一緒に配布することで,上記のようなデメリットを補うことが可能です。共同研究者を募集している場合は,こうした形でアピールすると,時々思ってもみない方から連絡があり,有用なアドバイスをもらえることもあるので,お勧めです。


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