スライド作成のABC
[第5回] 表やグラフを作る
連載 柿崎真沙子
2023.12.04 週刊医学界新聞(レジデント号):第3544号より
表やグラフを作る際,論文や統計資料のスクリーンショットを取って,そのままコピペしていませんか? 確かに時間がかからない方法ではあるのですが,少し時間がかかっても,パワーポイント内で自前の図表を作成することを私はお勧めします。
理由はいくつかありますが,まず私がよく講義資料で使う統計表は,毎年もしくは数年ごとにデータが更新されるからです。スクリーンショットを取ってコピーするよりも,表から作りこんでしまったほうが更新された分の数字を足していくだけでグラフが自動的に作られるため,楽に対応ができます。コピペの場合,拡大して使用する際に図表の縮尺が元と異なってしまうため,文字の大きさの縦横比が崩れてしまったり,拡大しすぎて図や文字の解像度が悪くなってしまったりする例が見受けられます。また,せっかくスライドを全体的にきれいな色彩でまとめていても,突然異なる色彩の図表やグラフが出てくるので印象が変わってしまいます。自分でグラフを作成すると,スライドのトーンにあったカラーに変更ができますし,文字の大きさやフォントの種類も自分の好みに変えられるため,強調などもしやすくなります。そして,自分自身でグラフや表の色を選ぶことができ,文字もはっきり表示させることができるので,視認性も良くなります。
特性に合わせた適切なグラフ選びを
グラフにはいくつか種類があります。使用するデータの種類によって使い分けましょう。図1に代表的なグラフを示しています。

棒グラフは棒の高さや長さによって,種類や項目ごとの平均値や割合,年次推移などを比較したいときに使用するグラフです。縦棒グラフと横棒グラフがありますが,スライドは横長ですので,比較したい項目が増える(=棒の数が増える)場合は縦棒グラフを,項目名が長い(=項目名にスペースを取られる)場合は横棒グラフを使うと良いと思います。私は棒グラフを,がん種別の検診受診率の4か国比較などに使ったり,同じデータの時系列比較や都道府県比較などに使います。
折れ線グラフは時間の経過とともに変化するデータに対して使用する場合が多いです。棒グラフに比べてシンプルなので,いくつかのデータを重ねて表示することが可能です。私は,がんの部位別死亡率や,死因別死者数の年次推移などを示す際によく使っています。また,棒グラフと折れ線グラフを一緒に使用することもあ...
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