睡眠外来の診察室から 
                                                                [第7回] 「寝ぼけて甘い物を食べる。翌朝は食べたことを覚えてない」
                                                            
                            連載 松井健太郎
2022.10.03 週刊医学界新聞(通常号):第3488号より
タイトルにある通り,甘い物の話をしようと思ったが,なんだか筆が進まない。はた,と気づいた。普段,お菓子をあまり食べないのである。
甘い物は大好き。しかし日常的に食べるのには忌避感がある。せっかくなら特別感を感じたい。例えば先日奥さんとデートした帰りにミルクレープをいただいたが,とても幸せだった。旅先でのご当地ソフトクリームも一興だ。あるいは論文投稿を終えて余韻に浸りながら売店で買ったビスコを片手にコーヒーを飲む,なんてのも良い。
どうして普段はお菓子を食べたくないのか。どうも予防線を張っているようだ。毎日のように食べては感動が薄れるだろう。さらに言えば,連日食べた後の「そこまで美味しくないのでは?」という悟り状態,賢者モードが怖いのかもしれない。
そういえば,友人からもらってうまい棒を初めて食べた小学1年生の私は非常に感動し,ある時遠足のおやつをうまい棒で揃え,何本もむさぼり食べたところ,突然むなしくなってしまった。飽きてしまったのである。
魔法が解ける瞬間ほど悲しいことはない。輝く駄菓子界のアイドルが目の前にいるのに,なんだかもう受け付けない。むなしい。これはトラウマである。私は「マックのポテトをお腹いっぱい食べる」という子どもの頃の夢が果たせないままでいる。
薬理学的な表現をするならば,ジャンクフードの美味しさは「耐性ができやすい」のである。やはり幸せの最大値を上げるのであれば,美味しさを忘れたころに摂取するのがいいんじゃないだろうか。アイドルであれば元・モーニング娘。の辻ちゃんのようにずっと成功し続けていてほしい。
「寝ぼけて甘い物を食べる。翌朝は食べたことを覚えてない」
というわけで私はお菓子を依...
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