名画で鍛える診療のエッセンス
[第2回] “みる”を意識して観察力を研ぎ澄まそう
連載 森永 康平
2020.11.09
名画で鍛える診療のエッセンス
大学の総合診療科医でもある著者が,教育・診療の視点でアートの可能性を探ります。
[第2回]“みる”を意識して観察力を研ぎ澄まそう
森永 康平(獨協医科大学総合診療科 助教/ミルキク 代表)
(前回よりつづく)
一目で診断をつけたり,次々と的確な判断を下す先輩や指導医に私たちは憧憬を隠せません。観察には「隅々まで」「俯瞰的に」など,いろいろなコツはありますが今回伝えたいのはただ一つ,「みる時間を増やすこと」です。外来診察や病棟回診で,患者とその周辺情報を“みる”時間を意識的に増やしてみましょう。
重要な情報は目立つところにあるとは限らない
マネの「フォリー・ベルジェールのバー」(図)は有名ですから,見たことがある人も多いでしょう。どんな情景が描かれているでしょうか? 中央の女性がこちらを向いています。机には酒瓶のようなものがたくさん。ここはバーでしょうか? そうすると彼女はバーテンダー?
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| 図 フォリー・ベルジェールのバー(エドゥアール・マネ) |
最初に目に映るのはこんなところかもしれません。ここからさらに“時間を掛けて”隅々までみてみます。右上には女性と話すシルクハットの男性,左上には目立たないですが,先が尖った靴を履いた足がチラリとみえています。この足が棒の上に立っているのは空中ブランコ乗りだからでしょうか? 酒を飲み交わす場所で頭...
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