医学界新聞

未来の看護を彩る

連載 新福 洋子

2020.06.22



未来の看護を彩る

国際的・学際的な領域で活躍する著者が,日々の出来事の中から看護学の発展に向けたヒントを探ります。

[DAY 12](最終回)点をつなぐ

新福 洋子(広島大学大学院 医系科学研究科 国際保健看護学教授)


前回よりつづく

 昨年の7月から1年間の連載をさせていただきました。世の中が様変わりし,働き方が変化した1年でした。

 2020年3月に出席予定であったG 7科学アカデミー会合もキャンセルされましたが,メールベースでまとめた3つの提言が公表されました。今年はG 7以外のアカデミーも招待され,デジタルヘルス,基礎研究,昆虫の減少の3つのテーマでまとめています1)。私はGlobal Young Academy(GYA)の代表者として,主にデジタルヘルスの提言作成に参加しました。いわゆるウェアラブルなどで人々が健康データを利用する社会になり,本人が健康増進のためにシームレスにデータを利用できるような仕組みや,個人情報保護などの情報の安全性の観点が含まれました。

 こうした会合には,各国の科学アカデミーから会長やノーベル賞受賞者など,著名な科学者が派遣されますが,科学の在り方,社会への影響についての幅広い議論に,深い感銘を受けます。今年は4月にCOVID-19に関する緊急提言も発信し,アジア,アフリカ,ラテンアメリカ圏に対する支援と国際協調を呼び掛けました。こうした提言は,課題を明確にし,解決策を提示し,政策に役立てられるべく作成されています。

 「知」を生み出す科学者が自身の専門分野の知見から「これは正しい,正しくない」と意見するにとどまらず,その価値観や経験も含めて「社...

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