未来の看護を彩る
[DAY 11] 遠隔教育と信頼
連載 新福 洋子
2020.05.25
未来の看護を彩る
国際的・学際的な領域で活躍する著者が,日々の出来事の中から看護学の発展に向けたヒントを探ります。
[DAY 11]遠隔教育と信頼
新福 洋子(広島大学大学院 医系科学研究科 国際保健看護学教授)
(前回よりつづく)
新型コロナウイルス感染症の影響で,大学は遠隔授業に切り替わりました。演習も,試行錯誤しながら遠隔で始まっているようです。私もこれまで続けてきたアフリカでの教育研究活動に関して渡航ができない状況にありますが,これまでに開発してきた携帯アプリでの学習ツールを用いた教育効果の評価をしている段階にあり,現地に行かなくても研究を続行できる状況になっています。
現在運用しているアプリのコンテンツは,WHOのガイドラインに基づきアフリカの環境に即して,妊婦さんにとって「なぜ」それが大事で,助産師が「どのように」妊婦さんに伝え,ケアできるかという視点でまとめました。助産師が助産師のために助産師目線でガイドラインを「ローカライズ」した教材です。
携帯アプリ学習は,いかに継続してもらうかが鍵になります。アプリの試用を開始したところ,助産師たちの継続率が非常に高いことに,開発グループも驚いていました。タンザニアの現場においては教科書や専門図書が十分にあるわけではなく,インターネットでの情報は何が信じられるかがわかりにくい状況にあります。開発チームでは,現在運用しているアプリへの「信頼」が高いエンゲージメントにつながっているのではないか,と議論しています。
このアプリではコンテン...
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