医学界新聞

連載

2019.05.27



看護のアジェンダ
 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第173回〉
それぞれの春が始まる

井部 俊子
長野保健医療大学教授
聖路加国際大学名誉教授


前回よりつづく

 「このたびは,すてきな胡蝶蘭をいただき,ありがとうございました。本日,朝届きました。このような体験は,私にとって初めてであり,正直びっくりしたと同時にとても感動しました。(中略)井部先生からの贈り物でぱっと明るい日が差した気分になりました」という初々しいメールが届いた。

 私は今春,看護部長に就任した4人の友人に胡蝶蘭を贈った(私には,初めて看護部長になって“ふるえて”いた頃,当時東札幌病院の副院長・看護部長であった石垣靖子さんから届いた豪華な胡蝶蘭に胸ふるわせたという原体験がある)。

新任看護部長の春

 Aは,某大学病院の看護部長公募に応募した。履歴書を書き,応募動機を示し,どのような意志を持っているかを明らかにし,病院幹部との面接を経て,病院職員へのプレゼンテーションを行うなど,幾多の関門を通過して看護部長のポジションを獲得した。

 Bは,副看護部長として勤務していた病院で,ある日幹部との面接があった。複数の副看護部長の中のひとりとして,尋ねられたことに答えた。そして,看護部長に指名された。

 Cは,これまでいくつかの急性期病院の看護部長を歴任している。そしてこの春,大病院の勤務を辞めて,地域密着型の病院で看護師人生の仕上げをしようと決めた。

 Dは,東京の先端医療を担っていた病院の副看護部長として勤務していた。このたび“転勤”命令が下り,地方にある“古い昭和のかおりがする病院”の看護部長として単身赴任した。

 こうして,それぞれの春が始まり,元号が「平成」から「令和」となった。

 Aからは,4月11日に「所信表明演

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