金原一郎記念医学医療振興財団
2018.11.12
金原一郎記念医学医療振興財団
第64回認定証(第33回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)は,このほど「第33回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として65人(助成総額3990万円)を選出。10月17日に,医学書院(東京都文京区)にて第64回認定証贈呈式が開催された。
開催に際して,金原優同財団業務執行理事(医学書院代表取締役会長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された同財団の概要を紹介した。選出された交付対象者をたたえ,「この助成金を有効活用し,研究活動に拍車をかけてほしい」と激励の言葉を述べた。
認定証贈呈の後,同財団理事長で選考委員長を務める野々村氏が今回の選考経過について説明した。氏は,基礎医学研究に対する各国の予算が厳しくなる中で,民間の助成金のニーズが世界的に高まっていることに触れ,「当助成金への応募者も年々増え続けている。その中で助成対象者となったことに誇りを持ち,引き続き研究を頑張ってほしい」と期待を寄せた。
続いて交付対象者を代表して伊川友活氏(東京理大准教授・助成対象「1細胞エピゲノム解析による造血幹細胞分化制御機構の解明」)があいさつに立った。氏は,造血幹細胞の分化制御機構を1細胞レベルで解明することをめざし,2018年4月に研究室を立ち上げたばかり。「研究室にはまだ最低限の設備しかなく困っていた。これからは,最先端の技術を取り入れてメカニズムの解明に取り組み,良いサイエンスを展開することで恩返ししたい」と抱負を語った。
写真 贈呈式には,65人の交付対象者のうち,東京近郊の15人が出席した |
金原一郎記念医学医療振興財団
第33回基礎医学医療研究助成金交付対象者
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 研究テーマ(和文) |
1 | 伊川 友活 | 東理大生科研/免疫生物学研究部門 | 1細胞エピゲノム解析による造血幹細胞分化制御機構の解明 |
2 | 石田 紗恵子 | 東医歯大難治研/分子神経科学分野 | DEPDC5の2-hit変異は多様なてんかん発症を説明しうるか |
3 | 伊藤 智子 | 新山手病院/臨床医用工学研究室 | 人工ネオ・エピトープ提示エクソソームを用いて樹状細胞を活性化する新規抗腫瘍免疫治療システムの創生 |
4 | 稲葉 弘哲 | 東医歯大学院/医歯/細胞生物学分野 | 光遺伝学によるRHOA/Rac1クロストークの高時空間分解能解析 |
5 | 井原 達矢 | 山梨大学院/総研/泌尿器科学講座 | 膀胱における脂肪酸代謝産物のG蛋白質共役受容体を介した夜間頻尿発症の検討 |
6 | 岩崎 正治 | 阪大/微研/新興ウイルス感染症研究グループ | 哺乳類アレナウイルス遺伝子発現調節機構の分子基盤 |
7 | 岩本 真幸 | 福井大/医学/分子生理学 | イオンチャネル活性に見る細胞膜張力の普遍的効果 |
8 | 上田 和孝 | 東大学院/医学/ユビキタス予防医学講座 | 血管傷害が誘導する「褐色化」現象を介した病的血管リモデリング機構の解明 |
9 | 大嶋 淳 | 阪大学院/歯学研/歯科保存学教室 | 歯周病原性細菌による宿主免疫抑制メカニズムの解明 |
10 | 岡本 麻友美 | 名大/医学/細胞生物学 | 力が制御する神経前駆細胞の動態・運命とその分子機構の解明 |
11 | 押海 裕之 | 熊大学院/生命科学/免疫学分野 | 自然免疫異常による精神疾患発症機序の解明 |
12 | 小野田 淳人 | 名大学院/病院/総合周産期母子医療センター | 子宮内低灌流に起因する周産期脳障害の早期診断と根本治療の実現に向けた基礎的研究 |
13 | 掛川 渉 | 慶大/医学/生理学I教室 | 新規光遺伝学的技術を用いた記憶・学習制御 |
14 | 籠谷 勇紀 | 東大病院/医学/血液・腫瘍内科/無菌治療部 | 制御性T細胞のエピジェネティック機構による活性調節 |
15 | 加藤 哲久 | 東大医科研/感染・免疫部門ウイルス病態制 | 単純ヘルペスウイルス病原性に関する基礎的研究 |
16 | 門脇 寿枝 | 宮崎大/医学/機能生化学教室 | 小胞体ストレス誘導性新規合成タンパク質の分解機構の解明による病態治療標的分子の探索 |
17 | 金山 剛士 | 東医歯大難治研/生体防御学分野 | 感染初期におけるミエロイド細胞供給機構の解明 |
18 | 國本 博義 | 横市大学院/医学/幹細胞免疫制御内科 | 炎症性サイトカインを介したクローン造血の拡大機序に基づく新規白血病予防法の創成 |
19 | 小西 博之 | 名大学院/医学/機能組織学 | 中枢神経損傷時における脳内マクロファージの機能解析 |
20 | 近藤 誠 | 阪大学院/医学/神経細胞生物学講座 | 運動による抗うつ効果の分子機序に着眼したうつ病の新規治療薬開発 |
21 | 酒井 宏治 | 国立感染研/ウイルス第三部第一室(麻疹室) | 生体内プロテアーゼ環境の変化に伴う鳥インフルエンザウイルスの新たなプロテアーゼ利用能獲得機序の解明 |
22 | 櫻井 雅之 | 東理大生科研/分子病態学研究部門 | RNA依存的ゲノム塩基編集機構が制御するゲノム安定性とその破綻によるがん化と炎症 |
23 | 佐々木 紀彦 | 都健康長寿研/老年病態研究チーム | 膵癌の早期診断法と治療法の開発に向けた、nestin陽性膵癌幹細胞特異的糖鎖の同定 |
24 | 佐藤 佳 | 東大医科研/システムウイルス学分野 | 抗ウイルス免疫応答と抗ウイルス薬の相互相反作用がエイズ病態進行へ与える分子メカニズムの実証 |
25 | 佐藤 文彦 | 阪大学院/歯学研/口腔解剖学第二教室 | 無意識感覚の情動などの高次機能への関与をラット脳神経回路から解明し、トゥレット症候群との関連を検討する |
26 | 佐野 浩子 | 久大分子研/遺伝情報研究部門 | 脂肪肝の発症メカニズムの解明:ハエとマウスを用いた多元的解析 |
27 | 塩田 拓也 | 宮崎大/フロンチィア科学/塩田研究室 | グラム陰性菌外膜毒性タンパク質の阻害剤の探索 |
28 | 柴原 一陽 | 北里大/医学/脳神経外科 | 膠芽腫播種後髄液を対象としたliquid biopsyによる播種治療標的の解明 |
29 | 榛葉 旭恒 | 京大/ウイルス研/免疫制御分野生田宏一研究室 | グルココルチコイドによるIL-17産生型ヘルパーT細胞の分化・維持・免疫応答の促進機能の解明 |
30 | 鈴木 勇三 | 浜松医大/医学/内科学第二呼吸器 | CD109を介した特発性肺線維症(IPF)の創薬と診断・予後予測システムの構築 |
31 | 髙倉 一樹 | 慈恵医大/内科学講座消化器・肝臓内科 | 喫煙による膵臓癌発癌・進展メカニズムにおける オートファジーの関与 |
32 | 立石 健祐 | 横市大学院/医学/脳神経外科学 | NF-kB経路を標的としたABCサブタイプ悪性リンパ腫治療法の開発 |
33 | 田中 都 | 名大/環境医学研/分子代謝医学分野 | 腎障害の慢性化を誘導する微小環境の分子機構の解明 |
34 | 田中 泰圭 | 福岡大/医学/てんかん分子病態研究所 | 脳オルガノイド培養系を用いたDravet症候群の分子病態解析および新規治療法開発 |
35 | 寺井 秀樹 | 北里研究所病院呼吸器内科 | 肺癌オルガノイドを用いた根治的肺癌治療法の開発 |
36 | 外山 研介 | 愛媛大/医研/薬理学講座 | 血液脳関門破綻に着目した、認知症に対する発症・進展の予測マーカーの開発 |
37 | 中川 勇人 | 東大病院/医学/消化器内科 | 肝胆道癌進展における脂質代謝リプログラミングの役割と治療標的としての可能性 |
38 | 中田 慎一郎 | 阪大/細胞応答制御学 | ニックが起こす相同染色体間組換えの分子機構 |
39 | 中田 勉 | 信大/医学/分子薬理学教室 | 心筋L型カルシウムチャネルの正常な細胞内局在と機能におけるジャンクトフィリン2の役割 |
40 | 鳴海 覚志 | 成育セ研/分子内分泌研究部 | ストレス顆粒に着目した新規ヒト先天性疾患関連分子SAMD9の機能と構造の解析 |
41 | 橋本谷 祐輝 | 同志社大学院/脳科学研究科シナプス分子機能 | 内因性カンナビノイドシグナルを介する抗てんかん作用のメカニズムの解明 |
42 | 濱 弘太郎 | 帝京大/薬学/物理薬剤学研究室 | 極長鎖脂肪酸代謝機構に着目した副腎白質ジストロフィーの病態発症機序の解明 |
43 | 林 美樹夫 | 関西医大/生命医学研究所細胞機能部門 | 根治療法の開発に向けたグリオーマ幹細胞の 浸潤メカニズムの解明 |
44 | 平原 潔 | 千大学院/医学/免疫発生学 | 線維化誘導-病原性ヘルパーT細胞による肺組織の線維化機構の解明と病態制御基盤の構築 |
45 | 平山 順 | 小松大学/保健医療臨床工学科 | 現代の社会的要因が体内時計を破綻させる機構の解明 |
46 | 深田 宗一朗 | 阪大/薬学研究科 筋幹細胞創薬プロジェクト |
骨格筋幹細胞維持メカニズムとしてのカルシトニン受容体シグナルの解明 |
47 | 福島 新 | 北大学院/医学病院/循環病態内科学教室 | 先天性心疾患における短鎖脂肪酸の心筋エネルギー代謝への有効性解明と臨床応用を目指した基礎的研究 |
48 | 藤田 敏次 | 弘大学院/医学/ゲノム生化学講座 | ORNi-PCR法を用いた遺伝子変異の高感度・高精度検出法の開発 |
49 | 星野 温 | 京府医大学院/医学/循環器内科学 | 心臓線維化スパイラルの分子基盤の解明 |
50 | 細川 健太郎 | 九大学院/幹細胞再生修復医学分野 | テロメア結合因子による造血幹細胞におけるエネルギー代謝制御機構の解明 |
51 | 堀端 康博 | 獨協医大/医学部生化学講座 | オルガネラの健全性に必須な新規リン脂質輸送因子とミトコンドリア病との関連 |
52 | 松浦 顕教 | 金大/医薬保健薬系/遺伝情報制御学研究室 | BiFC/GFP-Trapシステムを利用した新規タンパク質翻訳後修飾解析法の開発 |
53 | 松本 直之 | 金大/医薬保健医学系/脳神経医学 | 高等哺乳動物における進化的な脳の拡大の分子機構解明 |
54 | 的場 圭一郎 | 慈恵医大/糖尿病・代謝・内分泌内科 | 尿細管ROCK1シグナルによる糖尿病腎症制御機構の解明 |
55 | 丸山 健太 | 阪大/免疫フロンティア/世界最先端研究機構 | 腸骨連関を制御する新規メカノセンシング機構の解明と応用 |
56 | 水野 秀信 | 熊大/国際先端医学/多次元生体イメージング研究室 | 生体イメージングによる脳神経回路形成および病態機序の解明 |
57 | 宮崎 拓郎 | 昭大/医学/生化学講座 | 生活習慣病に潜むpre-mRNAスプライシング制御不全 |
58 | 森 健太郎 | 金医大/神経内科学 | 腸上皮化生発症の分子基盤の解明 |
59 | 森 雅樹 | 滋賀医大/神経難病研究センター創薬部門 | 若年期特有の細胞物性を実現する分子基盤の解明と難病治療への応用 |
60 | 矢野 真人 | 新潟大大学院/医歯総研/神経生物解剖学分野 | 運動ニューロン変性に関連する新規分子のRNA制御機構と ALS病態 |
61 | 山口 新平 | 阪大学院/医学/幹細胞病理学講座 | 全能性を制御する分子基盤の解明 |
62 | 山崎 淳平 | 北大学院/獣医/動物分子医学教室 | TET2によるエンハンサー特異的DNA脱メチル化機構の解明 |
63 | 山下 直也 | 順大/医学/薬理学講座 | 軸索輸送を介した神経細胞内の物流制御・その破綻とアルツハイマー病 |
64 | 山田 洋 | 筑大/医学医療/認知行動神経科学 | 欲求に応じて行動を調節する神経回路の解明:モデル動物を用いた研究 |
65 | 吉田 賀弥 | 徳大学院/医歯薬/口腔保健教育学分野 | 感染マクロファージ由来の膜小胞が含むヒストンは糖尿病を重症化するか? |
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