医学界新聞

連載

2018.01.22



看護のアジェンダ
 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第157回〉
ものごとの頼み方の作法
――三顧の礼

井部俊子
聖路加国際大学名誉教授


前回よりつづく

 その昔,ある会合のあとの洗面所で手を洗っているとき「あら,井部さん。うちの大学に来てくれない?」と某大学の学部長に笑顔で声を掛けられた。私は返答に詰まった。そして内心,絶対に行くまいと思った。と同時に,ものごとの頼み方の作法があるのではないかと思った。

 最近もこんなことがあった。ある研修プログラムを開講するために人選を頼まれたので,候補者Aを推薦した。プログラム責任者はAに依頼文をしたため,メールで就任を依頼した(依頼の内容を私はC. Cで見た)。しばらくして,「あの人事は断られました」と私にメールで報告があった。プログラム責任者は,一度もAに会うことなく“この話”を終結しようとしていた。

 もうひとつのエピソードがある。看護部長が病棟師長に,「B病棟が多忙なのであなたの病棟のスタッフをリリーフで出してくれないか」と“電話”で頼んだが,「うちも忙しい」と断られた。いずれもメールや電話で依頼しており,簡単にコトがうまくいかないことを依頼者は経験している。

三顧の礼

 そこで今回のテーマは,ものごとの頼み方の作法を考えることにした。こ

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