「いかがですか」の含意(井部俊子)
連載
2016.11.28
看護のアジェンダ | |
看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
| |
井部俊子 聖路加国際大学特任教授 |
(前回よりつづく)
2016年10月は,毎日バッグにポケットティッシュを3~4個入れて出勤していた。止まることを知らない鼻水と咳に対処するためであった。マスクをすると吸気が温められて息が楽になることもわかった。ポケットティッシュは,クリネックス・ローションティシュー・エックスというブランド品を使った。これは「お肌と同じ弱酸性ローション液配合」で保湿成分は主に「植物性グリセリン」であるとされ,おかげで鼻孔の下が赤くならずに済んだ。マスクもいろんな種類を試してその進化を知った。
そうこうしているうち,10月11日午後あたりから左耳に違和感があった。声が聞こえにくい。その夜は楽しみにしていた宴会があったので出掛けた。仲間はおいしそうにまつたけご飯をおかわりしているのに私は食欲がなく,どうしてあんなに食べられるのだろうと思いながら付き合っていた。
帰宅して翌朝,前夜の高級懐石料理を大量に吐いた。ほとんど消化されていなかった。これが不調の始まりだった。左耳の後ろを拠点として片頭痛が強くなり,38℃の発熱,咳と痰,鼻水が続く。予定を全てキャンセルして3日間,家で伏せていた。食事に未練はなかったが,水分だけは摂るようにしていた。尿の色が目安だった。
4日目に耳鼻科を受診した。耳鼻科医は耳をのぞいて,いとも簡単に「中耳炎です」と言った。週末だったので,翌月曜日に聴力検査をしたら,明らかに左耳の聴力が低下していた。「このくらいの低下は大したことはない」と彼女は言うが,私には大変なQOLの低下だった。抗菌薬,抗炎症薬,去痰薬が処方さ
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
ピットフォールにハマらないER診療の勘どころ
[第22回] 高カリウム血症を制するための4つのMission連載 2024.03.11
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第1回]PPI(プロトンポンプ阻害薬)の副作用で下痢が発現する理由は? 機序は?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.07.29
最新の記事
-
2025.01.14
-
新年号特集 医薬品開発の未来を展望する カラー解説
創薬における日本の現状と国際動向寄稿 2025.01.14
-
新年号特集 医薬品開発の未来を展望する
国民に最新の医薬品を届けるために対談・座談会 2025.01.14
-
新年号特集 医薬品開発の未来を展望する
医薬品開発の未来を担うスタートアップ・エコシステム/米国バイオテク市場の近況寄稿 2025.01.14
-
新年号特集 医薬品開発の未来を展望する
患者当事者に聞く,薬のことインタビュー 2025.01.14
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。