そして……モヤモヤよ,こんにちは!(川口篤也)
連載
2014.12.01
モヤモヤよさらば!
臨床倫理4分割カンファレンス
生活背景も考え方も異なる,さまざまな人の意向が交錯する臨床現場。患者・家族・医療者が足並みをそろえて治療を進められず“なんとなくモヤモヤする”こともしばしばです。そんなとき役立つのが,「臨床倫理」の考え方。この連載では初期研修1年目の「モヤ先生」,総合診療科の指導医「大徳先生」とともに「臨床倫理4分割法」というツールを活用し,モヤモヤ解消のヒントを学びます。
■第12回(最終回) そして……モヤモヤよ,こんにちは!
川口 篤也(勤医協中央病院総合診療センター 副センター長)
(前回からつづく)
(大徳) モヤ先生,総合診療科のローテートも今日で終わりだね。本当によく頑張っていたと思うよ。
(モヤ) 大徳先生にそう言ってもらえると,うれしいです!
(大徳) 人一倍,モヤモヤする場面も多かったけどね(笑)。
(モヤ) うう……。一つが解決しても,また新たなモヤモヤが湧いてくるんです。
臨床倫理4分割の考え方はかなり身についたと思うんですけど,それでも今後も,常にモヤモヤせざるを得ないんでしょうか……。
(大徳) ふむ。じゃあちょっと特別に,今まで話していない4分割カンファレンスのレクチャーをしようか。
患者への適用まで考えてこその「EBM」
(大徳) 突然だけど,モヤ先生は「エビデンス」って何だと思う?
(モヤ) えっと。臨床試験とか,研究からわかる結果のこと……ですか。例えば「脳梗塞の再発率は,アスピリンを飲むと○%下がる」とか。
(大徳) それは,わりと信頼性の高いエビデンスと言えるね。きちんと計画された研究の実施結果から,一専門家の意見まで,エビデンスにはさまざまなレベルがあるからね。
じゃあ「EBM(Evidence-based Medicine)」って何だろう。
(モヤ) 今言ったような,エビデンスに基づいた医療をしようってことです。
(大徳) まあそうだね。でも,それだけじゃないんだ。
(モヤ) (???)
EBMを実践するためには,以下の5つのステップを踏むことが必要とされています。
STEP 1:疑問の定式化
STEP 2:情報収集
STEP 3:情報の批判的吟味
STEP 4:情報の患者への適用
STEP 5:上記STEP 1-4の評価
さて,一番大事なのはどのステップでしょうか。実臨床で抱いた疑問をわかりやすく整理し(STEP 1),裏付けする情報を集め(STEP 2),集めた情報の正確性,妥当性を判断する(STEP 3)。いずれも大切ですし,ともすれば“EBM=STEP 1-3”のように思われがちです。しかし実臨床で最も必要とされるのはSTEP 4,つまり患者にどう適用すべきか,です。エビデンスがあったとしても,実際に目の前の患者にその治療を行うか否かは,その患者の好み,病状や周囲の状況,医療者の経験の程度などで決まってくるのです。
皆さん,お気付きでしょうか。これはまさに,臨床倫理4分割カンファレンスの考え方の過程と同じですね。(1)医学的適応がすなわち「エビデンスを示すこと」に当たりますが,本連載でもたびたび指摘してきたように,医学的適応だけで方針を決める...
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