医学界新聞

2014.03.31

第41回日本集中治療医学会開催


 第41回日本集中治療医学会(会長=岡山大・氏家良人氏)が,2014年2月27日-3月1日,国立京都国際会館(京都市)他にて開催された。大会テーマ「集中治療――マルチプロフェッショナルの心・技・知を集めて!」のもと,医師や看護師,理学療法士など多職種約7500人が集い,大会を盛り上げた。本紙では,人工呼吸器離脱プロトコール作成について議論されたパネルディスカッションのもようを報告する。


プラクティカルに使える人工呼吸器離脱プロトコール

パネルディスカッションのもよう
 プロトコールに従ってチームで人工呼吸器離脱に取り組むことは,医療者の標準的な介入を可能にするだけでなく,患者の装着期間短縮と早期離床につながる。パネルディスカッション「人工呼吸器離脱プロトコールの作成」(座長=神戸百年記念病院・尾崎孝平氏,杏林大・道又元裕氏)では,日本集中治療医学会,日本呼吸療法医学会,日本クリティカルケア看護学会の合同ワーキンググループ(WG)での経過が報告され,議論された。プロトコールは今後,他2学会での検討を経て,各学会HPからパブリックコメントを募集,そこで修正を加え,今秋には普及へ向けた広報活動が始まる見通しだ。

 初めに白坂雅子氏(日赤九州国際看護大)が,日本クリティカルケア看護学会員を対象に行った,人工呼吸器ウイニング実施についての調査結果を発表した。病院独自のプロトコールが無い施設は8割以上だが,必要だと感じる看護師は8割を超えている。氏はこの結果から,看護師がウイニングを実施することで離脱の遅延が避けられる利点が認識されながらも,患者にとって効果的な離脱プロセスが定着していないと指摘。また,必要との意見が多い一方,ウイニングを「何の障壁もなくできる」と回答した看護師は2割にとどまり,躊躇する誘因として,看護師の知識および技術不足,医師-看護師間の協働態勢の乏しさがあると考察した。氏は今後の課題に,(1)看護師の教育体制の構築,(2)医師との協働体制の構築,(3)チーム医療の推進,(4)法的体制の構築を挙げ,「これらがクリアされることが看護師主導の人工呼吸器離脱の実現につながる」と述べた。

 続いて,WG委員長である宇都宮明美氏(聖路加看護大)が,プロトコール作成の経過について報告した。本プロトコールは,自発覚醒トライアル(SAT),自発呼吸トライアル(SBT),抜管プロトコールの3段式の手順が特徴であり,それぞれのステップで開始を判断する基準,成否を判断する基準をフローチャートとともに解説した。氏は評価者と指示者の役割の明確化,問題発生時の対処方法など,チームでの十分な話し合いが重要という認識のもと,プロトコールを作成したと述べ,実施者に対しては,(1)安全管理および苦痛を緩和する能力,(2)自発呼吸を確立するための流れに乗せる能...

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