医学界新聞

連載

2013.06.24

なかなか教えてもらえない
看護研究発表の「キホン」と「コツ」!

【第9回】
研究結果はポスターに語らせよう!
ポスター発表の主役は「語るポスター」

新美 三由紀(佐久総合病院看護部)


3028号よりつづく

この連載では,みなさんに「研究発表してみたいな」とか「もっと研究発表してもいいかな」と少しでも思ってもらえるように,研究発表のキホンとコツをギュッと凝縮してすぐに使えるノウハウを解説します。


ポスター発表にも良さがある

 医学・医療系の学会では,より評価の高い研究が口演発表として採用される傾向があるため,演題を提出する際,まずは「口演」を希望するのが一般的だと思います。また,ポスター作成よりスライド作成のほうが容易という理由から,口演発表を希望する人もいるかもしれません。

 しかし,ポスター(示説)発表には,(1)工夫次第で,より多くの情報を提示できる,(2)長時間,研究結果を提示できる(多くの人に見てもらえる“可能性”がある),(3)さまざまな学会参加者と直接ゆっくりディスカッションできる,といった利点もあります。今回は,こうしたポスター発表の良さを活かしたポスター作成について,キホンとコツをお伝えします。

ポスターと口演スライドはまったくの別モノ

 第4回「口演スライドの作成では,まず何をする?」(第3012号)で,口演発表では「主役は演者でありスライドは脇役」と書きました。しかし,ポスター発表では違います。ポスター発表の主役は「語るポスター」です。このキホンをまず押さえてください。

 ポスター発表では,演者が発表会場にずっといるわけではありませんが,ポスターは指定時間中ずっと貼られています。参加者は自分の都合に合わせてポスター展示を見に来るため,ポスターだけを見てあなたの研究結果を知るわけです。その場にいなければ,「この図はこう読んでほしい」とか「本当はこういう意味があるのだけれど」といった言い訳はできません。

 最近は,ポスター発表でも一律に2-3分のプレゼン(口頭発表)をさせる学会がありますが,一般的なポスター発表では演者によるプレゼンはありません。採択条件が厳しい学会では,ポスター発表もポスターディスカッションと一般ポスターに分けられ,後者はポスターの展示あるいはインターネット閲覧(e-poster)のみです。こうした状況を理解すれば,「研究結果はポスターに語らせる」ことの重要性がよくわかると思います。

 実は,普段から「データに語らせる」ことを意識している看護師なら,「ポスターに語らせる」ことはそれほど難しいことではありません。しかし,説明で補おう,その場で思いを語ろうと考えてしまうと,ポスターは語らなくなってしまうのです。また,「語る」という言葉を誤解して,考察の文章をダラダラ書き連ねてしまうのもNGです。ポスターを見る人にとって重要な情報は,考察の基となる研究結果であり,客観的データ(質的データも量的データも含まれます)なのです。

一枚タイプ? 分割タイプ?ポスター作成のいろは

 では,ポスター作成の手順を,順番

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