医学界新聞

連載

2013.05.13

「型」が身につくカルテの書き方

【第11講】救急外来編 救急特有の流れに沿った4段階カルテ記載法

佐藤 健太(北海道勤医協札幌病院内科)


3022号よりつづく

 「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる」(by立川談志)。

 本連載では,カルテ記載の「基本の型」と,シチュエーション別の「応用の型」を解説します。


 救急外来では重症度・緊急度が高く多様な主訴を持つ患者が次々受診し,しかも診断と処置を同時並行で進めなければなりません。そんな中できちんとカルテを書くことは大変ですが,今回紹介する「カルテの型」は救急外来特有の診療の流れに沿って,短時間で書けるようになっています。

カルテ記載例

患者:78歳,男性

(1)救急隊から聞いた情報を転記しておく。
(2)一番落ち着いて考えられる今の時点での鑑別診断を書いておく。まだ情報は少ないため臓器系や病態レベルで考えるか,特に危険なものを2-3挙げる程度でよい。
(3)救急処置のOMI…酸素(O2)・モニター(Monitor)・点滴(IV)はバイタルに異常のある全患者に行う。
(4)救急初期検査のABCDEFG…筆者オリジナルの「とりあえず最初にやる」検査の暗記法。ABG(動脈血ガス),Blood(一般生化学・血算),CXR(胸部Xp),Dexter(血糖),ECG(12誘導心電図),FAST & FEER(エコー),Gram stein(グラム染色・培養検体採取)。やらない理由が思いつかなければとりあえずやるよう指導している。
(5)ショック診察セット:「救命のABCDの異常それぞれの診察セット」+「三大疼痛(頭痛・胸痛・腹痛)セット」を作っておくと,速やかな実施と記載がしやすくなる。
(6)この段階で確定診断にこだわりすぎると時間を浪費するため,診断を絞り込みすぎず,病態や臓器系のレベルで鑑別を行う。
(7)事前情報でのプランの変更があれば,修正点のみ追記し

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