駒野リポート(井部俊子)
連載
2013.02.25
| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
2013年1月19日付の朝日新聞夕刊,「22人の色紙」(『窓 論説委員室から』)は,聖路加関係者に大きな励ましと若干の自負をもたらした。論説委員の駒野剛氏の約1年にわたる入院生活における看護の評価である。
彼は,「つらい検査と思わしくない結果の繰り返し」で自暴自棄になり,もう明日を望めぬのではないか(という)不安にさいなまれるなか迎えた誕生日に,病棟の看護師ら22人全員が書いてくれた色紙とともに「ハッピー・バースデー」の歌で祝福された。その色紙は,「言葉はそれぞれだが,人の情けと生きる力が伝わってくる」ものであった。「彼女たちは,なえた心を笑わせ,しかってくれた。私の病気とともに闘い,私の心に巣くった絶望という病も癒してくれた」のである。そして,創設者の米国人トイスラーによる「人の悩みを救うため,愛の力が働けば,苦しみは消え人は生まれ変わる。その愛の力が誰にもわかるよう造られた生きた有機体」という精神が,世紀を超えて生き続けると書いている。
ジャーナリストが患者の立場でみた「看護の課題」
それから5日後,私は記事の行間を知りたいと思い,駒野氏に会った。彼は私の申し出に心よく応じてくれ,論説委員室の会議のあとだと言いながら,本学にやって来てくれた。
「(長い療養生活のため)自分は病棟での牢名主でした」と自嘲しながら,看護師たちの働きぶり,担当してくれた医師たちの個性など論説委員らしい冷徹な観察力で率直に語ってくれた。「共同体としてのメンバーが支え合い,応分の責任を果たしている」と述べ,「ここで死んでもいいと思えるような信頼感がある」と言った。
しかし,ここから先はトーンが変わり,「看護のアジェンダ」となる。
まず,看護の質を上げるために,看護師の「熟度を上げる」方策が必要であると指摘する。医療の繁雑さの中で,若い看護師たちは追い立てられている。彼女たちが,先輩のやり方や危機管理方法を「盗む」という機会が,個室化によって少なくなっているのではないかというのである。
二つ目は,看護師た...
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