第7回医療の質・安全学会開催
2012.12.24
「医療の質」「患者安全」学の確立を
第7回医療の質・安全学会開催
第7回医療の質・安全学会が11月23-24日,飯塚悦功会長(東大大学院)のもと大宮ソニックシティ(さいたま市)で開催された。今回の主題は「医療質安全学の確立――社会技術としての医療の基盤構築」。社会技術としての医療を具現化するための知識体系の構築をめざした演題が並んだ。本紙では,電子カルテとがん医療,2つの質評価に関するセッションのもようを報告する。
医療の質向上に寄与できる電子カルテとは
飯塚悦功会長 |
松村泰志氏(阪大)は,国立大学附属の42病院における診療記録の電子化と医療安全に関する調査結果を述べた。禁忌・アレルギー情報の集約や,指示の実施面では電子カルテによるシステム化が効果的だった一方,指示変更があった場合は紙カルテ運用のほうが優れていたという。診療記録の時系列表示は電子カルテでも不十分だったことから,医療安全により寄与できるシステムの構築を呼びかけた。
続いて指定討論として,徳永英吉氏(上尾中央総合病院)が市中病院の立場から発言。グループ病院間,病棟間の用語を標準化し,院内業務を可視化したいという思いが電子カルテ導入のきっかけだったことを明かし,グループ27病院すべてで同じシステムを採用したという。運用面では,カスタマイズしないことを現場にお願いしているとした。
楠岡英雄氏(国立病院機構大阪医療センター)は,医療機能評価機構認定病院におけるIT関連インシデント分析に関する活動を紹介した。同機構認定病院患者安全推進協議会のIT化・情報機器部会では,病院情報システムに関連する患者安全の指針策定を目標に,IT関連トラブルの収集・分析を行っている。トラブルでは,オーダー伝達エラーや入力時の誤りなど,システムを運用する部分で発生したインシデントが多かったと分析した。
最後に登壇した座長の武田氏は,米国で展開されている"meaningful HER(電子カルテの意味ある...
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