医学界新聞

連載

2011.10.03

在宅医療モノ語り

第19話
語り手:獲物を優しく鷲づかみ 耳鼻異物鉗子さん

鶴岡優子
(つるかめ診療所)


前回からつづく

 在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「耳鼻異物鉗子」さん。さあ,何と語っているのだろうか?


獲物を逃して落ち込む私
大きな獲物とのツーショットの予定でしたが,ハンターの焦りが伝わったのか,こんな結末に。今月の耳診察の強化月間は,患者さんには好評でしたが,まさか写真撮影のために獲物を深追いするなんてことはできませんでした。
 突然ですが,耳掃除はご自分でされますか? 今は耳かき道具も多種多様で,ヒトの好みや習慣,耳垢の性状などで使い分けることができます。周りを見ると,竹細工のものが人気でしょうか。耳鼻科ではあまり推奨されていないようですが,熱狂的なファンがいます。綿棒も耳に水が入ったときや耳垢がしっとりとした方に好評です。耳かきをヒトに頼むこともありますが,これは特別な信頼関係があるときだけ。公園のベンチの恋人同士,リビングのソファの親子,アキバの耳かき専門店

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