A Gift from God ?――高齢者認知症(大蔵暢)
連載
2011.06.06
高齢者を包括的に診る
老年医学のエッセンス
【その6】
A Gift from God ?――高齢者認知症
大蔵暢(医療法人社団愛和会 馬事公苑クリニック)
(前回よりつづく)
高齢化が急速に進む日本社会。慢性疾患や老年症候群が複雑に絡み合って虚弱化した高齢者の診療には,幅広い知識と臨床推論能力,患者や家族とのコミュニケーション能力,さらにはチーム医療におけるリーダーシップなど,医師としての総合力が求められます。不可逆的な「老衰」プロセスをたどる高齢者の身体を継続的・包括的に評価し,より楽しく充実した毎日を過ごせるようマネジメントする――そんな老年医学の魅力を,本連載でお伝えしていきます。
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社会問題としての認知症
高齢者に多い認知症は,人間が日常生活を送る上で最も重要な臓器である「脳」の病気である。記憶能力(物忘れ)をはじめとして計算・言語・判断能力などの認知機能が侵され,これらによる症状は中核症状と呼ばれる。また認知症の進行とともに妄想や幻覚・うつ症状・徘徊などの周辺症状も出現し,患者本人だけでなく家族を含めた周囲の生活に多大な影響を及ぼす。認知症やその周辺症状により引き起こされる問題は,医療や介護のシステムにとって大きな負担となり,今や社会全体の問題になりつつある。
認知症のなかで最も有名なのは,脳神経変性疾患の一つであるアルツハイマー病で,1906年にドイツの精神医学者であるアルツハイマー博士によって初めて報告された。ほかにもパーキンソン病と関係があるレビー小体病や,言語や人格異常が問題となる前頭側頭葉型認知症などがある。地域の高齢認知症患者の多くがアルツハイマー病であり,若年者や珍しい疾患,重症例が集まる大病院の専門外来とは疾患頻度が異なることは想像に難くない(J Alzheimers Dis. 2009[PMID: 19749406])。
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認知症診療における積極性と消極性
今も昔も認知症の診断は,「年齢による生理的低下以上の認知機能障害と日常生活における障害との関連...
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