循環・呼吸(2)(川島篤志)
連載
2011.03.21
小テストで学ぶ "フィジカルアセスメント" for Nurses
【第6回】循環・呼吸(2)
川島篤志(市立福知山市民病院総合内科医長)
(前回よりつづく)
患者さんの身体は,情報の宝庫。"身体を診る能力=フィジカルアセスメント"を身に付けることで,日常の看護はさらに楽しく,充実したものになるはずです。
そこで本連載では,福知山市民病院でナース向けに実施されている"フィジカルアセスメントの小テスト"を紙上再録しました。テストと言っても,決まった答えはありません。一人で,友達と,同僚と,ぜひ繰り返し小テストに挑戦し,自分なりのフィジカルアセスメントのコツ,見つけてみてください。
|
■解説
今回も引き続き,循環領域の問題を解説していきます。がんばりましょう!
循環
(6)フィジカルアセスメントの成書をひもとくと,多くの心雑音の記載がみられますが,聴こえる頻度の高いものから理解することが重要です。
圧倒的に頻度が高いのは,収縮期の雑音です。これには血液が左心室から出て行くときの音(駆出性で"たすき"の領域:心尖部から右肩方面にかけて)と,左心房に逆流するときの音(逆流性で,側胸部から背部)があります(詳細は成書参照)。
駆出性の音は,大動脈弁狭窄症(AS)という弁疾患のほか,貧血や発熱などのHyperdynamic state(連載第2回,第5回参照)にある患者さんや,大動脈弁硬化症の高齢者で聴こえる可能性が高いです。ASの有無で医学的な判断が変わることがあるため,医師,特に内科医や救急医にはできれば詳しく知っていてほしいのですが,看護師の場合,そこまで精通しておらずとも問題はないと思います。
一方,僧房弁閉鎖不全症(MR)の音は逆流性で,多くの場合側胸部のほうに伝わっていきます。これも程度によるのですが,雑音のためにII音がわかりにくくなるのも特徴です。
また,心臓の超音波診断の際,三尖弁閉鎖不全症(TR)というレポートを見かけることがあるかもしれません。TRも収縮期に聴こえる逆流性雑音ではあるのですが,聴診では意外と気づかない印象があります。患者に深吸気をしてもらうと雑音が増強するという
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.03.11
最新の記事
-
対談・座談会 2025.04.08
-
対談・座談会 2025.04.08
-
腹痛診療アップデート
「急性腹症診療ガイドライン2025」をひもとく対談・座談会 2025.04.08
-
野木真将氏に聞く
国際水準の医師育成をめざす認証評価
ACGME-I認証を取得した亀田総合病院の歩みインタビュー 2025.04.08
-
能登半島地震による被災者の口腔への影響と,地域で連携した「食べる」支援の継続
寄稿 2025.04.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。