NEJM誌で学ぶ臨床診断推論(錦織宏,他)
寄稿
2011.02.07
【寄稿】
NEJM誌で学ぶ臨床診断推論
Clinical Problem-SolvingとInteractive Medical Cases
錦織宏(東京大学医学教育国際協力研究センター・講師)
永迫友規(東京大学医学部医学科6年/2010年度NEJM-CPS/IMC勉強会代表)
吉川裕貴(東京大学医学部医学科6年)
先進国の医療の特徴の一つに,客観主義に基づく検査偏重性がある。例えば症例検討会で,研修医が「右上腹部に軽度の圧痛があり,Murphy's signも陽性なので,急性胆嚢炎の可能性が高いのでは?」とプレゼンテーションしたとしよう。指導医は,研修医と一緒にベッドサイドに行った際に,どのように身体診察を行うかではなく,腹部超音波検査の所見がいつ提示されるのかに関心を示す,というような現象がそれに該当する。
診断における「わかりやすさ」に起因するこの検査偏重性は,今日の高度化した医療においてはある程度不可避なものとも考えられる。一方でカーナビゲーションシステムに慣れたドライバーが道を覚えなくなるように,現在の医学生や若手医師にとって,病歴や身体所見を重視した臨床診断推論(診断学)を学ぶことが困難になってきているという医学教育上の問題も引き起こしている。
NEJMを臨床診断推論学習の教材に
東京大学医学教育国際協力研究センター(以下,センター)ではそのような状況を鑑み,2009年度から現国保旭中央病院研修医の尾崎章彦氏(2009年度NEJM-CPS勉強会代表)の発案を受け,有志学生(所属不問)が主催する形で,New England Journal of Medicine(NEJM)誌の「Clinical Problem-Solving(CPS)」を題材にした勉強会を月1回行っている(表)。
表 NEJM-CPS/IMC勉強会の進め方(東大での勉強会の例) | |
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