医学界新聞

連載

2010.10.11

在宅医療モノ語り

第7話
語り手: 私もハイブリッドです 電動アシスト自転車さん

鶴岡優子
(つるかめ診療所)


前回からつづく

 在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「電動アシスト自転車」さん。さあ,何と語っているのだろうか?


荷物を載せたアシスト自転車
デザインというよりも,1回の充電で長い距離を走れるというスタミナで選ばれました。お値段は3年前の購入で10万円前後。決して安い道具ではありませんが,近距離の訪問では大活躍です。急な雨に備えて,大きなビニール袋を常備し,人間はともかく荷物だけでも水から守ります。
 補助金まもなく終了。エコカー買うならお早めに。そんなテレビコマーシャルに乗せられて車屋さんに行ってみると,がっくり。納車待ちのお客さんでお店はパンク寸前。その挙げ句に補助金の早期打ち切りが発表されました。うちの主人もそうでしたが,駆け込み需要の渦中に巻き込まれた皆さま,本当にお疲れさまでした。

 在宅医療業界でも,移動の手段としてハイブリッドさんが人気です。燃費の良さや減税が魅力で,地球にも財布にも優しいエコカーが支持されています。自動車であれば,医師や看護師,見学の学生が同時に移動でき,車内で時間と空間を共有できます。専属の運転手さんがいる医療機関も多いですね。都会などでは道路も狭く,渋滞や一方通行も多くなります。加えて診療中の駐車場の確保も大きな問題となるので,運転手さんがいれば安心。移動の時間を利用してカルテを記録したり,携帯電話で関係者と連絡をとったりすることも可能になります。

 こんなに便利な車があるのに意外かもしれませんが,実は自転車族も訪問診療で活躍しているんですよ。なかでも私たちのような電動アシストタイプが...

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