医学界新聞

2010.05.17

STROKE2010開催


 第35回日本脳卒中学会総会(会長=岩手医大・小川彰氏),第39回日本脳卒中の外科学会(会長=国立がん研究センター・嘉山孝正氏),第26回スパズム・シンポジウム(会長=富山大・遠藤俊郎氏)の三学会によるSTROKE2010が,4月15-17日,岩手県民会館(盛岡市)他にて開催された。共通テーマを「脳卒中撲滅――社会とともに」とした今回は,さまざまな企画を通して脳卒中医療における諸問題を社会に問い,ともにその解決に臨むことがあらためて確認された。


小川彰氏
 合同シンポジウム「『一過性脳虚血発作』の新展開と治療」(座長=国循・峰松一夫氏,徳島大・永廣信治氏)では,一過性脳虚血発作(TIA)の診断と治療の実際について,活発な討論が行われた。

 まず岡田靖氏(国立病院機構九州医療センター)が,ここ数年で起きたTIAのパラダイムシフトについて解説した。氏は,外来で経過観察とされることも多かった従来の状況から,48時間以内の治療や入院精査の必要性が認識されつつある現在まで,TIA治療の変遷を概観。ハイリスクTIAと急性期脳梗塞を同一のスペクトラムでとらえ,急性脳血管症候群として位置付ける新たな時代が到来したと語った。

 次に上原敏志氏(国循)が,脳卒中学会認定研修教育病院を対象としたアンケート結果を発表。国内脳卒中専門施設のTIA診療は,入院適応や抗血栓療法などに関する回答からおおむね妥当なレベルにあると思われるが,症状持続時間を1時間以内としたAHA/ASAの2006年のガイドラインや,ABCD2スコアなどの新しい定義はまだほとんど普及していないこと,また約8割の専門施設が,非専門医のTIA正診率を50%以下とかなり低く見積もっていることを示した。

 木村和美氏(川崎医大)は,TIAの検査や画像診断の実際についてまとめた。氏は,TIAでは来院時には神経症候が消失している場合が多いことから,まず病歴,特にTIAの...

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