医学界新聞

連載

2010.03.08

研修病院見学ルポ
~いい病院のええとこ取りをめざして~

【第11回】国立病院機構東京医療センター

水野 篤(聖路加国際病院 内科)


前回からつづく

特色

初期研修医が研修病院に求める,「立地,総合内科,救急」の3大ポイントが満たされており,施設もきれいである。
職場環境が良く,女性医師の割合も高い。

Profile
病床数:780床(一般病床730床,精神病床50床)
救急外来受診患者数:2万8003人/年(2008年度)
救急車受け入れ台数:6760台/年(2008年度)

Opening
 いよいよ今回が最後の病院見学。救急当直明けだったが,国立病院機構東京医療センター(以下,東京医療センター)の最寄りの駒澤大学駅に移動した。途中眠気に襲われ,電車を乗り過ごしそうになりながらもなんとか病院に到着。まず,総合受付に向かう。全体的に非常にきれいな病院だと感じた。

教育研修の指導医
 総合受付にて教育研修部の方に迎えに来ていただき,まずは研修に携わる指導医によるミーティングに参加。研修医の合同説明会の日程から,研修内容,また研修終了発表会などについて綿密に打ち合わせを行っていた。

 終了後,今回見学の手配をしてくださった尾藤誠司教育研修部医長と,見学の目的からこれからの日本の医療といった話題まで幅広く語り合った。非常に熱い考えを持った先生で長時間話し込んでしまったが,人気のある研修病院には,教育関連の部門に熱い思いを持った医師が必ずいると強く感じた。

総合内科
 午前中は総合内科を見学。診療はチーム制で行い,指導医,後期研修医,初期研修医,クリニカルクラークシップの学生から成る6つのチームが組まれている。基本的には後期研修医が方針を決め,診察を行っていくという。回診に同行することはできなかったが,胸腔穿刺の患者について研修医に講義を行っていたようだ。総合内科では,共有の教育用Powerpointファイルを持っており,それを用いてOne Pointレクチャーを行うとのこと。このような共有の教育ファイルは本連載の「第2回麻生飯塚病院」でも紹介したが,非常に良い方法であると思う。

 講義の途中で緊急入院の連絡が入る。入院の決定は指導医が行うことが多いようだ。すぐに救急外来に赴き,指導医と簡単にディスカッションを行い,以降の指示出しは後期研修医の担当となる。このときは心房細動既往の患者の左中大脳動脈の塞栓性脳梗塞。研修医が簡単な問診および身体所見を取り,紙にメモしている。この光景はどこの病院でも変わらないゴールデンスタンダードな絵だ。これまで見学した病院では,ほとんどの研修医は紙にメモを取り,PDAなどの電子媒体を用いる人はほとんどいなかった。単純なメモにはやはり使い勝手がまだよくないのかもしれないが,iPhoneやiPadの登場で医療業界でのモバイル端末は間違いなく進化するだろうから非常に楽しみである。た...

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