医学界新聞

連載

2010.02.08

研修病院見学ルポ
~いい病院のええとこ取りをめざして~

【第10回】国立国際医療センター戸山病院

水野 篤(聖路加国際病院 内科)


前回からつづく

特色

高度な専門科に,さらに総合診療科が加わる診療体制。
研修1年目から行える外来診療。
外来では1症例ごとにフィードバックを行い,振り返りのための教育専任の医師を配置している。

Profile
病床数:885床(精神病床40床,感染症病床4床,結核病床40床,一般病床801床)
救急車受け入れ台数:8375台(2008年度)
救急受け入れ人数:1万8811人(2008年度)

Opening
 今回の見学先は,国立高度専門医療センターの一つである国立国際医療センター戸山病院。救急外来に集合とのことで向かったが,病院の正門周辺は長い間工事が行われ,来るたびに雰囲気が違うため入り口がわからない(註:今年8月に新棟が完成予定とのこと)。迷いながらもなんとか到着し,まずは救急外来から見学を開始した。

救急レクチャー
 救急外来では,救急部の木村昭夫部長がレクチャーを行っていた。テーマは「中毒」。今回は参加できなかったが,レクチャーの前に行われる午前8時30分からの振り返りのカンファレンスで,前日救急車で搬送された中毒(詳細不明)患者の症例を取り上げたため,それに関連した内容ということでテーマを決めたようだ。レクチャーに用いたスライドは統計データを含めた考察が散りばめられ,学術的にも価値が高い。胃洗浄や活性炭の投与に始まり,クリニカルパスの妥当性の評価を行った発表も含めて,非常に興味深く聞かせていただいた。

朝の救急レクチャーの様子。まさに講義という雰囲気であった。
 引き続き救急の病棟カンファレンスが行われたが,内容は救急部管轄の入院患者のプレゼンテーションおよび血液検査・X線の情報共有。教育目的というよりは,報告に重点を置いた実務のためのカンファレンスであった。病棟は4年目医師一人で管理し,病棟長の医師がサポートおよび責任を取る体制だという。他の医師は救急車対応をしているとのことだ。

病院見学ツアー
 カンファレンス後は病院全体の見学を行った。まず,研修医の寮を見学。各年45人で計90人の初期研修医用の寮と,3年目以降の寮とに分かれている。どちらも病院敷地内にあり,院内用PHSの圏内とのこと。研修医からすれば,逃げられないといったところだろうか……。掲示板にはカンファレンスや海外への研修のチラシなどが多く貼られ,やはり国際協力などに興味がある研修医が多いことがうかがえる。病棟については,ACC(AIDS Clinical Center)などは新しい施設という印象を持ったが,ほとんどの部分はある程度年季が入っているように見えた。今年8月の新棟の完成が楽しみであろう。

 筆者を案内してくださった医師はもちろんのこと,看護師を含め,研修医,レジデント(後期研修医)といった職員みんなの仲が非常に良さそうだったのが印象的であった。見学前は,戸山病...

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