医学界新聞

連載

2009.08.03

知って上達! アレルギー

第5回
鼻炎,いろいろな原因

森本佳和(医療法人和光会アレルギー診療部)


前回からつづく

図1 カンタン! 鼻炎の把握法
前回は,十字に引いた線に記入して鼻炎を把握するという方法をご紹介しました(図1)。この上段2つの情報から,原因回避を中心とした対策を考えることができます。

アレルギー性鼻炎と非アレルギー性鼻炎

 アレルギー性鼻炎では,なんらかの抗原(アレルゲン)が原因となって生じます。これは,クームス分類でいうI型(即時型)アレルギー反応で,「抗原-IgE-肥満細胞」のセットが原因となります。この3要素のうち,抗原のコントロールが最も容易ですから,アレルギー性鼻炎ではまず抗原回避を考えることが重要です。

 非アレルギー性鼻炎には,前回ご紹介した血管運動性鼻炎のほかに,好酸球増多性鼻炎(NARES:Non‐Allergic Rhinitis with Eosinophilia Syndrome)というものがあります。症状はアレルギー性鼻炎と似ており,鼻汁中に好酸球も観察されます。しかし,皮膚試験を行っても,血液検査で特異的IgEをみても陽性が出ません。証明できないアレルギーの可能性があるのかもしれませんが,非アレルギー性に分類されます。ほかにも,味覚性鼻炎,薬物性鼻炎,妊娠性鼻炎,内分泌性鼻炎,などがありますが,種々雑多な鼻炎を明確に分類するのは難しく,国際的にも分類名があいまいなのが現状です。分類名よりも,臨床家として重要なことは,原因を把握することです。例えば,急な気候の変動で症状が悪化する鼻炎であれば,それを避けるようにアドバイスします。アレルギー性鼻炎では抗原回避を考えるように,非アレルギー性鼻炎でも原因の除去や回避を考えましょう。

季節性アレルギーこれで花粉が理解できる

 次に,季節ですが,季節性アレルギー性鼻炎の代表的な抗原はやはり花粉です。その原因となる植物は,季節でおおよその見当がつきます。

 まず,植物を木・草・雑草に大きく分けます。木は最も大きく数メートルになり,ご存じヒノキ・スギなどがあります。草は,基本はイネ科植物で,芝生の草をイメージしてもらうとよいでしょう。丈は10cmから数十cmといったところでしょうか。芝生の草の名前を言えと言われても困るかもしれませんが,オオアワガエリ,カモガヤなどが含まれます。雑草は川の土手や道べりに生えている数十cmから1mくらいに育つ植物でブタクサ・ヨモギなどが含まれます。

 これらの季節ですが,簡単に言うと「木(2-5月)=春,草(4-10月)=夏,雑草(8-10月)=秋」です。この季節と植物の高さを並べ...

この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook