医学界新聞

2009.07.13

第10回日本言語聴覚学会開催


 第10回日本言語聴覚学会が,6月13-14日,川崎医療福祉大(倉敷市)にて種村純会長(同大)のもと行われた。創立後初めて西日本での開催となった今回だが,「言語聴覚臨床のスコープ」をテーマに過去最高の225演題が寄せられ,改めて言語聴覚障害研究の裾野の広がりが示された。


シンポジウムのもよう
 シンポジウム「失語症の包括的理解――評価と介入のいま」(座長=岡山県立大・中村光氏,姫路獨協大・福永真哉氏)では,WHOの国際生活機能分類(ICF)に基づき「機能障害・活動制限・参加制約」の三点と,環境や個人因子の面から失語症臨床が考察された。

 まず「機能障害」の側面から二氏が口演。音韻・語彙レベルの障害については宮崎泰広氏(日赤医療センター)が,物体視認・文字認識をスタートとして,意味・語彙・音韻レベルなどを経て発話に至るまでを図式化した言語処理モデルを提示。言語性保続出現の神経過程や,錯語の種類別に有効なプライミング効果を示した上で,失語症者の多くには発話表出過程において複数の障害があり,損傷箇所と程度を見定め,介入法を決定すべきだと語った。

 統語障害(失文法)については渡辺眞澄氏(新潟医療福祉大)が発表した。氏は,主に英語圏で活用されているTUF(文の基底構造の訓練)や,動作絵と動詞の一部のみ示して想起を促す動詞発話訓練などについて説明。複雑な文を用いた訓練が同種の簡単な構造の文に汎化されることや...

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