危機を間一髪で回避:あとどれくらいしす?(齋藤中哉)
連載
2009.07.06
Primary CareとTertiary Careを結ぶ全方位研修
〔 第11回 〕
危機を間一髪で回避:あとどれくらいしす?
齋藤中哉(医師・医学教育コンサルタント)
前回は,全身性アミロイドーシスに学びました。慢性疾患を持つ患者が「風邪」を引くと,慢性疾患の増悪を招き,入院診療が必要になったり,集中治療の対象となったりします。したがって,腕の良い臨床医は,「風邪」の訴えを軽視しません。今回は,入院診療における「風邪」を取り上げてみます。
■症例
Uさんは27歳・女性。家業の印刷工場で事務職。ネフローゼ症候群の治療のためC医療センターに入院中,「風邪」の症状が出現した。ビニュエット(1)
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ステロイド治療の注意点は?
ステロイドは,効くとわかっていても,自分には使用してほしくない薬の筆頭でしょう。副作用が多岐にわたり重大だからです。だからこそ,基本は,(1)使わないで済むなら,使わない。(2)使用する場合,最小量を選択する,この2点に尽きます。寛解導入後,他の免疫抑制剤への変更が可能であれば,積極的に切り換えを検討します。Uさんも受けた初期大量-漸減-維持のプロトコールは,最初に最強の免疫抑制と抗炎症作用で病勢を完全に抑え込み,以後,再燃せずに副作用も最小となる量まで減量していくことにより,結果的にステロイドの総投与量を最小化する戦略です。
ステロイドの副作用には,易感染性,血栓形成,消化管潰瘍,膵炎,耐糖能悪化,血圧上昇,筋力低下,無菌性骨壊死,骨粗鬆症,緑内障,白内障などがあります。女性の場合,月経への影響,さらに美容の観点から,中心性肥満・満月様顔貌・野牛肩といった体型変化,★瘡・多毛・脱毛・皮下溢血・紫斑といった体表面変化に対する配慮も欠かせません。まれに,悲哀や抑うつを生じたり,反対に,活動性亢進や躁を引き起こすことがあります。多くは一過性ですが,ステロイドの減量や向精神薬の処方を要する場合もあります。最後に,もう一つ,決して忘れてはならない重大な副作用があります。それは何でしょう?
★……病垂れに「坐」
ビニュエット(2)
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