医学界新聞

連載

2009.03.23

看護のアジェンダ
 看護・医療界の“いま”を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第51回〉
素敵な無駄使い

井部俊子
聖路加看護大学学長


前回よりつづく

 日曜日,目覚まし時計の音ではなく,自然に目覚め,春のやわらかな光に包まれて背のびをしてから,朝の入浴をする。トーストとコーヒーの簡単な朝食をすませて,一週間ぶりのそうじをして,10時を迎える。30分間は東京FMの「メロディアス・ライブラリー」を聴く。作家の小川洋子が一冊の本を紹介しながら,曲が流れる。スイッチを切り,銀座に出かけて映画を観る。それから,教文館で好きな作家の新刊本を漁り,松屋で洋服をみて,キャンティでお茶をする。その後,自宅近くのスポーツクラブで45分間のアクアビクスをして帰途につく。そのころは街は暮れなずみ,街灯が子どもたちのいなくなった公園にともる。このパターンが私の好ましい日曜日の過ごし方である。もっとも,日曜日に開かれる学会や会議などで,往々にしてこのパターンがくずれるのだが。

 今回は,2月最終の日曜日に放送されたメロディアス・ライブラリーにて紹介された『放課後の音符(キーノート)』で,「そうよね」と思ったことを書くことにした。この本は山田詠美の作品で,1989年10月に新潮社から出版されている。実は,私は自称「山田詠美のおっかけ読者」

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