結婚式のスピーチ
連載
2008.10.06
名郷直樹の研修センター長日記 |
| ||
結婚式のスピーチ
|
(前回2796号)
○月□△日
結婚式のスピーチというのはどうも苦手だ。しかし,この苦手なスピーチをやたら頼まれる。どういうことだ。どういうことだ,といったって,自分自身がそういう立場になったというだけのことである。結婚適齢期の多くの研修医とともに日々を送っている上,形式上は彼らの直接の上司であるわけだから,結婚式ともなると当然そういう役割が回ってくる。信じられない。不思議だ。そういう自分が受け入れられない。頼まれるスピーチも,いい加減みんなが酔っ払ったあとのいいポジションではなくて,だいたいがまだみんなしらふの,静まりかえった中での,式の最初の挨拶だったりする。どういうことだ,これは。そういうことというしかないが。実際,明日はそういうスピーチをやらないといけない。憂うつである。
めでたい話をするとだいたいつまらない。かといって,めでたくない話を混ぜるのも危険だ。いい話は退屈だ。そんなふうに考えると,話すことがなくなってくる。前にも結婚式のスピーチで夫婦の間の無意味な会話の意味について話そうとして,なんだかわけがわからなくなったことがある。そのときの敵討ちというわけではないが,何を話そうとしたか,今一度思い出して,書き直してみる。明日のスピーチで使えるかもしれない。
今日は,夫婦の間の無意味な会話について,お話ししたいと思います。だいたい夫婦間の会話というのは無意味なものです。代表的なものとしては,「お茶でも入れますか」,「ああ」とか,「食事? それともお風呂?」,「風呂」みたいなものです。別にそれだけの会話ですが,実はここに隠されたサインがあるのです。どんなサインか。夫婦といっても,会話を受け入れるか,受け入れないか,そんなサインを送りながら,お互い話しています。そうした受け入れるかどうかのサイン。そのサインこそ伝えたいことだったりします。しかし,実際の会話では,そういうサインは基本的に見逃され,だいたいは見逃すことが受け入れOKのサインだったりします。
見逃してはいけないようなサインとは,どういうものでしょうか。それは大概わかりやすい形,かなりやばい形で現れます。たとえば,「お茶入れて...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.03.11
最新の記事
-
対談・座談会 2025.04.08
-
対談・座談会 2025.04.08
-
腹痛診療アップデート
「急性腹症診療ガイドライン2025」をひもとく対談・座談会 2025.04.08
-
野木真将氏に聞く
国際水準の医師育成をめざす認証評価
ACGME-I認証を取得した亀田総合病院の歩みインタビュー 2025.04.08
-
能登半島地震による被災者の口腔への影響と,地域で連携した「食べる」支援の継続
寄稿 2025.04.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。