患者の絶望を叶える2
連載
2008.11.03
名郷直樹の研修センター長日記 |
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患者の絶望を叶える2
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(前回2800号)
▲月×○日
今日も外来だった。相変わらず患者の希望ならぬ,絶望を叶えながら,検査の結果,何も異常はありませんでした,なんて説明を繰り返している。研修医のプレゼンも相変わらずだ。
「なんともないと思うのですが,患者の希望もあり,検査オーダーすることにしましたが,よろしいでしょうか」
「患者の希望と言うな! 絶望と言え!」
もうギャグにもならないやり取りである。
実際に検査をしても,だいたいは何もない。まさにこれは医者が無能であることの証明だ。病歴と診察で十分な診断がつかず,除外もできず,無駄な検査をやってしまったわけだから。しかし,医者のほうもすっかりプライドをなくして,自分の病歴や診察こそ無駄と思うようになり,無駄な検査のほうが無駄でなくなって,自分の病歴と診察ではなんとも言えないから検査しましょう,そういうことになる。ということはどういうことか。検査だけでいいのである。検査だけで決着がつくのなら,別に医者なんか要らないということである。
医師不足なんて言うけれど,不足していると思っているのは案外医者だけで,患者さんのほうは,医者自身ほど不足しているなんて思っていないかもしれない。患者にとって不足しているのは,医者ではなく,検査や薬だったりする。何てことだ。
しかし,なんでもないはずの検査で,何かあったりすることもある。無症候性脳梗塞,変形脊椎症,高コレステロール血症,耐糖能障害,肝血管腫,胆嚢ポリープ,腎のう胞,胃ポリープ,脂肪肝,上室性期外収縮,究極はメタボリックシンドローム。こんなのは,全部なんともありませんでした,そう説明したい。実際,何もないと説明したりすることもある。だって,実際見たところ患者さんはなんともないんだから。といっても,なんともないというのは私から見てということであって,患者さん自身は心配がとまらなかったりする。そんなとき,「なんともありません」という患者さんにとってうれしいはずの説明をしても...
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名郷直樹の研修センター長日記(終了)
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