医学界新聞

連載

2008.07.21



看護のアジェンダ
 看護・医療界の“いま”を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第43回〉
大丈夫な日本をつくるために

井部俊子
聖路加看護大学学長


前回よりつづく

介護労働者の処遇改善に関する法律

 第169回の国会で小さな法律が成立した(2008年5月21日)。それは,「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」である。以下が法律の全文である。

「政府は,高齢者等が安心して暮らすことのできる社会を実現するために介護従事者等が重要な役割を担っていることにかんがみ,介護を担う優れた人材の確保を図るため,平成21年4月1日までに,介護従事者等の賃金水準その他の事情を勘案し,介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検証を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附則 この法律は公布の日から施行する。」

 

 主語は「政府」のみである。政府(government)とは,「近代国家における決定作成と統治の機構,英米系の国家では立法・司法・行政の総称だが,ドイツ系の国家と日本では,内閣および行政機構を指す」(広辞苑 第5版)。

 

 介護現場は,低賃金で労働条件が厳しいことを背景に人手不足が深刻となっている。こうした事態を打開するために,民主党は,「介護労働者の人材確保に関する特別措置法」を提出した。同案では,介護労働者の平均賃金の見込み額が認定基準額を下回らない介護事業者を「認定事業者」として認定し,認定事業者に対して介護報酬額を加算することで,介護労働者1...

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