医学界新聞

連載

2008.01.14



連載
臨床医学航海術

第24回

  医学生へのアドバイス(8)

田中和豊(済生会福岡総合病院臨床教育部部長)


前回よりつづく

 臨床医学は大きな海に例えることができる。その海を航海することは至難の業である。吹きすさぶ嵐,荒れ狂う波,轟く雷……その航路は決して穏やかではない。そしてさらに現在この大海原には大きな変革が起こっている。この連載では,現在この大海原に起こっている変革を解説し,それに対して医学生や研修医はどのような準備をすれば,より安全に臨床医学の大海を航海できるのかを示したい。


 前回日本人には速読力が足りないと述べた。今回もこの速読力について考えてみたい。

人間としての基礎的技能
(1)読解力――読む
(2)記述力――書く
(3)聴覚理解力――聞く
(4)言語発表力――話す,プレゼンテーション力
(5)論理的思考能力――考える
(6)英語力
(7)体力
(8)芸術的感性――感じる
(9)コンピュータ力
(10)生活力
(11)心

読解力――読む(3)

 日本人は速読が苦手ということであったが,その速読の苦手なはずの日本人がすごい勢いで速読をしているという話を聞いた。いったい彼らはどこでどのようにしてすごい勢いで速読しいるのであろうか?

 彼らがすごい勢いで速読しているものは,なんとマンガであった!いったいどこで彼らはマンガを速読しているのだろうか? それはマンガ喫茶であった!

 以前にマンガ喫茶に行ってマンガを読む人から話を聞いたことがある。その人によると,マンガ喫茶に一人で行って,何十巻もあるマンガを一気に第1巻から最終巻まで読み通すとのことである。誰からも邪魔されず,時間も忘れて,一人だけでマンガの世界に没頭するとのことである。長編のマンガを時間があるときに断片的に読むのではなく,このように一気に通読することによって,その長編を体系的に理解可能になり,そして,読み終...

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