なんてひどい診察なんだ
連載
2007.12.10
名郷直樹の研修センター長日記 |
| ||
なんてひどい診察なんだ
|
(前回2756号)
▲月×○日
今日も2年目の研修医と外来だった。研修医とやる外来は楽しい。2年目ともなると「なかなか」のものだ。「なかなか」とは,フォークシンガー三上寛が言うところの,「なかなか」である。「なかなか」の副題は,「なんてひどい唄なんだ」というんだけれども。ということは,「なんてひどい診察なんだ」ということか。そうかもしれない。もちろんそんなわけはない,と言ってもいいのだが。そうかもしれない,そう考えてみると,いろいろ思い出すことがある。というように書き出したのだが,お前のは,なんてひどい診察なんだ。そう言われて,研修医はどう思うのだろうか。でも研修医自身に対しても,本当はそう言ってみる必要があるかもしれない,と思うのだ。そして,もちろん私自身の診察に対しても。さらにはすべてに対して。
研修医はとても丁寧に話を聞き,丁寧に診察をする。最初の1分は開かれた質問で,さらに解釈モデルを引き出し,沈黙を利用して,質問返しを利用しつつ,ドアノブコメントで締めよう。検査に入る前に,診察だけでできるだけ事前確率をある程度下げたり,上げたりできるようにしよう。診察したうえで,迷うときだけ検査をしよう。そう強調してきたことが,それなりに反映されている。でも,それがよかったり悪かったりする。丁寧さがあだになるのだ。だいたい自分はそんなに丁寧にやってはいない。でもそれは丁寧にやることができないわけではない。あえて丁寧にやっていないのだ。でもそれもうそだな。自分自身の外来がそんなにコントロールされているわけがない。
今日は,はなからわけのわからない話になっている。俺は,いったい何が書きたいんだ。しかし,何を書きたいのかなんて言い出したらおしまいだというところで,書いたことが書きたいことだった,そうするのが関の山。自分自身に対して,何が書きたいんだなんて問うもんじゃない。いったいなんてひどい文章なんだ。
4年前,患者に診察を拒否された研修医がいた。そのことを思い出す。丁寧に病歴を取り,丁寧に診察し,丁寧に説明し...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
この記事の連載
名郷直樹の研修センター長日記(終了)
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.03.11
最新の記事
-
対談・座談会 2025.04.08
-
対談・座談会 2025.04.08
-
腹痛診療アップデート
「急性腹症診療ガイドライン2025」をひもとく対談・座談会 2025.04.08
-
野木真将氏に聞く
国際水準の医師育成をめざす認証評価
ACGME-I認証を取得した亀田総合病院の歩みインタビュー 2025.04.08
-
能登半島地震による被災者の口腔への影響と,地域で連携した「食べる」支援の継続
寄稿 2025.04.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。