北海道編
連載
2007.03.12
臨床研修の歩き方 Think Globally, Act Locally | |
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鈴木宏明 | |
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(前回2719号)
CPCに積極的に参加していますか?
![](https://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2007dir/n2723dir/n2723gif/n2723_06.gif)
剖検およびCPCは患者の死という出来事から多くのことを学ぶ良い機会です。病態などの理解を深めるとともに,患者を全人的に診るとの観点から,CPCレポートは臨床研修制度では必修項目とされています。医師として関わりのある患者の死に際して,ご遺族から剖検の承諾を得,実際に剖検に参加しさらにCPCを行うことは,時間的にも精神的にも大きな負担ではありますが,そこから得られるものもまた大きいと考えます。
剖検が行われCPCが予定されると,その開催に向けて担当医(研修医)は症例の経過をまとめ,問題点を抽出し準備します。病理医は病理学的に剖検結果(診断)をまとめます。CPCでは担当医がまず症例を提示し,多くの場合その後,参加者全員で臨床経過・問題点について討議し,病理医から剖検結果の報告を受けて,再度みなで全体の議論をします。おおむね充実した議論が行われることが多いのですが,担当以外の研修医がいつも積極的に参加しているかと言えば,そうではない場合もあるのではないでしょうか?
北見赤十字病院での試み
最近,北海道の北見赤十字病院(約30名が研修中)で興味深い試みが行われているので紹介します。CPCの前に担当以外の研修医を4グループに分け,あらかじめ各グループ内で討議時の司会,書記および討議後の発表者を決めておきます。CPCではまず,担当研修医が症例を提示し,質問を受けた後,剖検時の問題点を示します。各グループ内でそれらについて20分間討議した後,各5分間でその結果を発表します。CPCの座長が全体をまとめ,上級医の意見も求めた後,病理医が剖検結果を説明します。さらに全体で討議を行い,最後には座長が症例について,参考論文やエビデンスについて提示するとのことです。プログラム責任者の種市先生のお話では,このやり方に変えてからは,各グループ毎に討議結果の発表義務があるためか,担当以外の研修医たちが以前より真剣に症例提示を聞くようになり,質問にも深みが出たとのことです。また,各研修医は,他のグループとの考え方の違いや,グループで発表した内容が病理所見と一致するのかどうかなど,興味津々で目が輝いているとのことで,CPCに活気が出たようです。北見赤十字病院は研修医が比較的多い病院であり,研修医が少ない病院ではまた違った工夫もあるかと思います。各病院の創意工夫で,CPC研修がより有意義なものとなることが期待されます。
(つづく)
鈴木宏明
1986年北大医学部卒。2006年より厚生労働省北海道厚生局臨床研修審査専門官。専門は病理学。
この記事の連載
臨床研修の歩き方(終了)
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