医学界新聞

連載

2007.03.12

 

臨床研修の歩き方
Think Globally, Act Locally

〔連載 第4回〕
北海道編

鈴木宏明
全国7か所の厚労省地方厚生局で働く臨床研修審査専門官が,全国各地の臨床研修の様子を交代でレポートします。


前回2719号

CPCに積極的に参加していますか?

 筆者は病理医なので,CPCについて書こうと思います。CPCとはclinicopathological conferenceの略で臨床病理検討会のことです。剖検(病理解剖)症例について,臨床医と病理医が準備をしたうえで検討会を開催します。死因・診断・治療の状態などを含め臨床上のいろいろな問題点について討議します。患者が死亡するまでの臨床経過と死亡時の病理学的所見とを考えあわせる作業ですから,問題点の中には病理学的所見とタイムラグのある内容も含まれます。したがって討議の内容によっては結果的に推測にとどまることも時にありますが,臨床医と病理医との真摯な議論から,症例全体の理解が深まることは間違いありません。

 剖検およびCPCは患者の死という出来事から多くのことを学ぶ良い機会です。病態などの理解を深めるとともに,患者を全人的に診るとの観点から,CPCレポートは臨床研修制度では必修項目とされています。医師として関わりのある患者の死に際して,ご遺族から剖検の承諾を得,実際に剖検に参加しさらにCPCを行うことは,時間的にも精神的にも大きな負担ではありますが,そこから得られるものもまた大きいと考えます。

 剖検が行われCPCが予定されると,その開催に向けて担当医(研修医)は症例の経過をまとめ,問題点を抽出し準備します。病理医は病理学的に剖検結果(診断)をまとめます。CPCでは担当医がまず症例を提示し,多くの場合その後,参加者全員で臨床経過・問題点について討議し,病理医から剖検結果の報告を受けて,再度みなで全体の議論をします。おおむね充実した議論が行われることが多いのですが,担当以外の研修医がいつも積極的...

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