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第3186号 2016年8月8日


臨床医ならCASE REPORTを書きなさい

臨床医として勤務しながらfirst authorとして年10本以上の論文を執筆する筆者が,Case reportに焦点を当て,論文作成のコツを紹介します。

水野 篤(聖路加国際病院 循環器内科)

■第5回 想定外を想定内に――Cover letter作成と電子投稿の流れ


前回よりつづく

レジデント「本文が書き上がりました!! 早速投稿っすね!」

カリスマ先生「そうですね。ではCover letterを書きましょう!」

レジデント「え,まだやることがあるんすか?」

カリスマ先生「本文以外の提出書類の用意と提出がありますね」

レジデント「ええ~?! 面倒くさい! やる気なくしました~」

カリスマ先生「(先に説明しておくべきだったか……)」


 画像と本文ができれば,Imagingの論文としてはほぼ完成なのですが,投稿するとなると,実はまだここから2~3時間かかることがあります。

 何をするのか? というのが今回のお話です。

Cover letterで論文の強み・ポイントを伝える

 Cover letterとは,あいさつの手紙のことです。大量に来る論文を査読する中でも目につくように,今回の論文の強み・ポイントを簡潔に伝えることが主たる目的です。

 また,医師は一般的なビジネスマナーには疎い方が多いと思いますが,就職活動では履歴書に添え状を同封するのは当然のようです。同様に,投稿時に論文だけをEditorial office(編集室)に送りつけるのは失礼に当たります。つまり,Cover letterはマナーの要素が強いため,“粗相”がないことが重要です。あまりにも失礼な手紙だと「何だこれは」と怒られたり,印象が悪くなったりするということです。

 したがって,言い切ります。

テンプレートを使ってください。

Editor in chief(編集長)の名前
論文名
自分の名前,所属,投稿日
論文を読んでくださって
ありがとうございます!
この論文は●●がすごいんです。
ぜひ掲載してほしいと願っています。
COIとか全て開示しています。

という流れが一般的ですね。

 各病院にいくつかテンプレートを持っている先生がいるので,それを使いまわすのが簡単です。

 指導医がいないって言ったじゃないですか! という方も安心してください。

ググれば出ます。

 論文のCover letterの場合は
Cover letter template journal
で検索してください。

 ちなみに,テンプレートを使用したせいでReject(不採択)になったという話は聞きませんが,あくまで「参考」にして,自分流で作成するようにしてください(テンプレートは著作権フリーなものが多いですが,そうでないものや「使用時には連絡をください」というものもあります。気を付けましょう)。

 私が使用しているもの()も自己判断で調整し,使用してOKです。

 Cover letterの例(色文字部分は適宜変更)

同意書の署名も忘れずに!

 「画像」「本文」「Cover letter」が完成して,提出の準備ができた! と思いきや,Submit(投稿)ボタンを押すまでにはまだいくつかの障壁があります。

 意外な落とし穴は同意書の署名サイン)。サインの必要な雑誌とそうでない雑誌があるので,実際に提出する段階まで気付かないことや,提出後にEditorial officeから連絡があって気付くことも多いです。

 確認が面倒で同じ雑誌に出し続ける人も多いですが,せっかくなのでいろんな雑誌に投稿してみるのも一興です。Imagingは共著者がいても少人数ですし,症例報告なので同じ施設の先生ですよね。後から署名をもらうとしても,多施設研究の論文ほどは面倒ではありません。

投稿までの最後の道

 以下に電子投稿の流れを紹介します。長いですが,ここを乗り切りましょう。

ID,パスワード作成
 初めて投稿する雑誌の場合,名前やメールアドレスを登録し,投稿ページにログインするためのID,パスワードを作ります。IDとパスワードはすぐに忘れるのでどこかに記録しておきましょう(雑誌ごとに作成するので本当にきりがない)!!

投稿ページにログイン
 ❶で登録したID,パスワードを入力します。

提出するカテゴリー(セクション)を選択
 「New submission(新規投稿)」から,今回はImagingもしくはCase Reportを選びます。

共著者を含めたAuthor(著者名)とAffiliation(所属)を登録
 このとき,共著者のメールアドレスも登録が必要な雑誌とそうでない雑誌があります。登録必須の場合は,まず投稿と同時に共著者全員に受付メールが配信され,その後Editorial officeからの確認や連絡,再投稿などのたびに全員にメールが届きます。ミスによる修正が多いとみんなから煙たがられるので注意しましょう。

Editorial officeへコメントを記入
 Reviewerになってほしい人の希望や,なってほしくない人(特に研究のライバルなど)の指定もできます。

論文・画像ファイルのアップロード
 この画面に署名の必要の有無が記載されていることが多いです[Instruction for Author(投稿規定)で見逃している人もここで気付きます]。
 ファイルのアップロードは意外に時間がかかるので,10分以上は待つ覚悟で。並列してできる別の仕事を用意しておくとよいでしょう。

ファイルの順番を決める

PDFの作成・確認
 作成したPDFを確認しないとSubmitボタンが押せません。特にAuthorと誤字脱字,そして図のサイズに問題がないかしっかり確認します。署名についてももう一度確認。

Submitボタンを押す

 お疲れさまでした……。まとめてみて初めてわかりましたが,画像・本文・Cover letterの用意以外に,なんと9個もの作業がありますね。私も常々面倒だなぁと感じていました。意外に時間を取られるので,ここでやる気を損なう可能性大です。初めて論文を出す人は気持ちが盛り上がっているので大丈夫かもしれませんが(笑)。

 この単純作業が楽しいと思える人は素晴らしく幸せですが,私はずっと苦痛です。そのため,

45/15ルール

をおすすめします。

 1時間のうち,最初の45分間はクリエイティブな仕事を行い,残りの15分は創造性を必要としない機械的な作業を行う,という時間配分だと仕事の効率が上がる,という説です。

 ファイルのアップロードボタンを押すなどのどうでもよい作業は15分に入れる感じですね。個人的には同時に作業してもよいかと思います。

 要するに,時間がかかるんで心が折れないように(笑)。この過程を知っていれば,どの作業も想定内になります。

まとめ

●Cover letterは失礼にならないように。テンプレートを活用しよう。
●同意書の署名も忘れずに準備!
●投稿の作業は意外と時間がかかる。あらかじめ想定しておこう。

つづく

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